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黒猫
「忘れてたんだけど、今日のためにプレゼント買ってきたんだ」
悠貴はベッドの下からゴソゴソと黒の紙袋を取り出す。
中から長い尻尾を出し、ナオちゃんのお尻の穴を広げてプラグを滑らかに刺した。
「んアッ……なにぃ!?」
射精後の脱力感で背を向けていたナオちゃんがビクッと身体を揺らし、勢いよく悠貴の方を向く。
「かわいい黒猫ちゃんに大変身……ヤッバ!」
ニヤニヤしながら三角に尖った黒い耳のカチューシャを取り付け、拍手をする悠貴。
「にゃんって言ってみて」
「イヤや」
「お願い♪」
ふわりとした尻尾をさわさわといやらしい手つきで触れた悠貴。
「ふにゃん!」
大きく跳ねらせ、ギュッと小さくまとまるナオちゃん。
「こんなんで感じんの? もう、ナオちゃんたら」
いじめがいがあるな、と本当の耳元で囁く悠貴にナオちゃんは熱い吐息を漏らした。
「なぁ、ユタカ」
真面目なトーンで呼びかけるナオちゃん。
「なぁに? ナオちゃん」
相変わらず優しく甘い口調で返す悠貴。
「ほんまにおれでええの?」
「全然いいよ。なんで?」
「俺、職場では強気のワンマン課長やけど……プライベートでは弱々のネコやんか」
「アンバランスがちょうどいいって感じてるから大丈夫だよ」
「でも……」
煮え切らないナオちゃんの頭を穏やかな笑みを浮かべながら撫でる悠貴。
「俺、義理やけどお前の兄貴なんやで」
苦しそうに言うナオちゃんを見て、撫でる手を止め、目を閉じた悠貴。
ナオちゃんは竹富食品の社長の息子なのは前述の通り、しかし実は悠貴も社長の息子なのだ。
ただ、ナオちゃんは正妻の子、悠貴は愛人の子。
そしてどんなに愛し合っていても、戸籍上は兄弟にしかならないのだ。
「それでも、俺はナオちゃんを離さないよ」
悠貴は口角を上げてナオちゃんを見つめ、キスをしようと顔を近づけた。
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