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第1話【処理課(前編)早朝 上 *】
街中にある、何てことないビルの群れ。その中の一つ、比較的規模の大きいそのビルには、三つの課が存在する。
一つ目は【事務課】だ。一階の受付カウンターと、二階に事務所があり、名前の通り事務的な作業をする課である。
二つ目は【営業課】だ。三階に事務所があるけれど、主な仕事は外回り。自社の商品を他者に紹介し、営業をする課だ。
三階を通り抜け、四階へ上がると、そこには大小様々な会議室があった。
そして、会議室が所狭しと並んでいる四階を通り抜けた先……五階にあるのが、三つ目の課の事務所だ。
三つ目の課は、配属された人員はわずか四人だけ。
その課に所属する一人の青年が乗ったエレベーターの扉が、開かれる。
「あぁ『ごり』はん。おはようさん」
長い桔梗色の髪を後ろで緩く結び、後れ毛を肩から垂らしている青年は、エレベーターから降りると同時に口を開いた。
五階に着いたエレベーターの前に居たのは、青年よりも遥かにガタイのいい、茶色の髪を短く切り揃えた、強面の男性だ。青年は自分より頭一つ分背の高い男性を見上げて、妖艶に微笑みながら朝の挨拶を口にする。
「あぁ、BBか。おはよう」
「今日も階段使うてきたん?」
互いをニックネームで呼び合いながら、二人は五階にある事務所に向かって歩き出す。
ゴリと呼ばれた男は、BBと呼ばれた青年の隣を歩きながら、力強く頷いた。
「階段を使うのは健康にいいぞ? BBもどうだ?」
「遠慮します~」
事務所の前に辿り着いた二人は、各々の鞄からカードキーを取り出す。それを、事務所の扉に付いているカードリーダーに読み込ませ、扉を開けた。
――その刹那。
「あぁッ! ぁんッ! らめぇえッ!」
男の、甲高い悲鳴が……二人の耳に届く。
ゴリとBBは一瞬だけ顔を見合わせたが、それ以上は特に何のアクションも起こさず、扉を閉める。
それでも、悲鳴は止まらない。
「オラッ! オラッ! もっといい声で啼けよッ!」
「やぁあッ! らめ、もぉッ、イッちゃいますからぁあッ!」
「そう言いながら、ビュービュー射精してんじゃねぇか! このド変態が!」
「いじわるっ、言わないでぇえッ! やら、やらッ! イッたばっかなのに、感じちゃいますよぉッ!」
事務所の奥へ進むと、裸の男が二人……床の上で、体を重ねていた。
眩しい程に輝く銀髪を忙しなく揺らし、色白で華奢な体をした少年は、ポロポロと涙を流しながら……もう一人の男に、犯されている。小さなアナルいっぱいに、男のペニスが挿入され……けれど少年は、苦しそうな表情はしていない。
むしろ、快楽に顔を歪めて……自ら腰を打ち付けている程だ。
淫らな少年の姿を見ても、ゴリとBBは表情を変えない。
ゴリとBBは自分に用意された席に座り、鞄を置いてデスクに向き直る。
ゴリのデスクには……【処理課課長】と書かれたプレートが、チョコンと置いてあった。
少年の喘ぎ声を聞き流しながら、ゴリはBBに問い掛ける。
「今日の予定は?」
「今日は十件の予約が入っとる。空き時間には、事務課の子をつまんでこようかと」
「そうか。俺は二十件だ」
「相変わらず精力絶倫やなぁ……流石処理課の課長さんやわぁ」
そう言って、BBは笑みを浮かべた。
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