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第11話【ショタ(前編)昼過ぎ 上】
処理課の中で、最年少なのはショタだ。
眩しい程に輝く銀髪を肩まで伸ばし、頭に左右二つ、はねた髪がある。歩く度に、そのはねた髪がピョコピョコと揺れる姿は、何とも愛らしかった。
色白で、目も大きく、低身長……どこからどう見ても、ショタは中学生にしか見えないだろう。
――けれど、立派な成人男子だ。
ショタは、誰よりもセックスに対してオープンだった。気持ち良くなる行為が好きなショタは、セックスをしてお金を稼げるなんて天職……そういう考えで、処理課に入社したくらいだ。
恐らく、事務課と営業課の人に『処理課で最もセックスが好きな人は?』と質問したら、全員が『ショタ』と答えるだろう。
――しかし、実際は違う。
(今日は十二件の依頼かぁ……ちょーっと、しょっぱかったかなぁ)
西日が差し込む通路を歩きながら、ショタはぼんやりと考えことをする。
セックスが好きだから……ショタはそれだけの理由で業務をこなしているわけでは、なかった。
――ショタは、守銭奴だ。
ショタの提供するサービスで特に人気なのは【何度も射精させてくれる】という内容。
処理課は、依頼主が射精した回数分、賃金が発生する。つまり、一度のセックスにどれだけ射精させられるか……そこが重要なのだ。
処理課の中でもショタは特に、そこを突き詰めていた。
ショタはテクテクと通路を歩き、丁度いいカモはいないかと、視線を彷徨わせる。
すると、見覚えのある人物を見つけた。
「あっ! マグロク~ン!」
ショタが見つけたのは、ベルトを締めながら階段を上がってきた、マグロだ。
マグロはショタの呼び声に気付き、足早でショタへ近付く。
「マグロクン、お疲れ様っ! 今の依頼はネコ? それともタチ?」
「……」
「タチかぁ。あははっ、お疲れ様っ」
瞳を泳がせただけで、ショタはマグロの言いたいことを理解する。
少し屈んだマグロの頭を撫でながら、ショタは笑みを浮かべた。頭を撫でられたマグロも、ほんの少しだけ口角を上げる。
「……ねぇ、マグロクン」
ショタの呼び掛けに、マグロは小首を傾げた。そんなマグロを見上げながら、ショタは愛らしく微笑む。
「マグロクンは、この後って……時間に余裕、ある?」
そう言って、ショタは甘えたようにマグロの手を握る。
マグロは一瞬だけ悩んだ後……小さく、頷いた。
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