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第27話【マグロ(後編)夜 中 *】

 ショタはマグロに歩み寄り、恥ずかしそうに視線を逸らしながら、呟く。 「素直になれなくて……業務って思わせて、傷付けて……ごめんなさい」  小遣い稼ぎと思わせるよう、振舞ってはいた。けれど、それでマグロを傷付けるつもりは無かったのだと……マグロは気付く。  恥ずかしそうに視線を逸らしながら、目の前に立つショタを見つめて……マグロは力一杯、抱き締めた。  予想だにしていなかった抱擁に、ショタが体を硬直させたけれど、そんなことは気にしない。 「……察せられなくて、ごめん」  いつも自分の考えを察してくれていたのに、自分はショタの考えに気付けなかった。心からの謝罪を、マグロが口にする。  ショタはマグロに抱き締められながら、くぐもった声を漏らす。 「……ボクが、どれくらいマグロクンのこと好きか……知ってる?」 「……知ら、ない」  マグロの返事に、ショタは小さく身じろぐ。  すると、ショタがマグロの背を叩いた。  マグロは一度ショタを解放し、小首を傾げてショタを見下ろす。そんなマグロに、ショタは小さなプレートのような物を差し出した。  ――それを見て、マグロは驚愕の表情を浮かべる。  ――それは、運転免許証だ。ショタの写真と『南須原(なすはら)陸乃(りくの)』という名前が、ハッキリと写っている。  マグロが口を開くよりも先に、ショタが口を開く。 「これくらい……好き、なんだけど……」  頬を朱に染めて、ショタは恥ずかしそうに、マグロを見上げる。  これこそ、ショタができる最上級の愛情表現だと……マグロは今度こそ、察することができた。  小さな突起を指で摘みながら、マグロは何度もショタにキスをする。マグロのペニスを受け入れているショタのアナルが、収縮した。 「んん、ふぁ……んっ」  爪で乳首を弾き、強くつねり、時には爪を立てる……それら全てに、ショタはビクビクと体を震わせる。  唇を解放し、マグロは壁に押し付けたショタを、愛おしそうに見つめた。 「陸乃、好き……陸乃が、大好き」  真っ直ぐ、言葉で気持ちを伝えられ……ショタは顔を真っ赤にして、視線を逸らす。マグロは不満げに眉を寄せた後、ショタの耳朶に唇を寄せ、囁く。 「葛西(かさい)でも、遼樹(りょうき)でもいいから……呼んで欲しい……っ」 「ぁんッ!」  ショタは、マグロの声が好きだ。突然耳元で大好きな声を囁かれ、ショタは自分でも驚く程、感じてしまった。

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