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1日目・運命の出会い

『おめでとうございます! あなたは見事 我社の【恋人アンドロイド】のモニターに選ばれました!』 この1通のメールで、 僕の人生は大きく変わったのでした。 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 「ついに来た・・・!」 ごくりと喉が鳴る。 目の前には僕が両手をめいいっぱい広げてもそれよりもう少し大きいぐらいの大きさの白い箱がドドーンと置いてある。 中には先日のメールの『恋人アンドロイド』とその名の通り自分好みの恋愛用のアンドロイドが入っているのだろう。 「き、緊張する・・・。本当に自分の理想の人がいるんだよね?」 (この中に、彼女が・・・) 僕は期待と不安を胸に、恐る恐る箱を開ける。 するとそこにはとても綺麗な顔をした男の人が眠っていた。 「・・・え?」 もう一度言おう。 男の人がいた。 「え・・・っと?」 僕は男でも惚れ惚れする綺麗な寝顔を呆然と見つめたのだった。 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 「あの、先日モニターに選ばれた香山 晴人(かやま はると)なんですけど違うアンドロイドが届いたみたいなんですけど・・・」 期待していた分、ガッカリしながらアンドロイドの会社に電話する。 『すみません、香山様。 こちらのミスで違う方のアンドロイドをお送りしてしまいました』 「こちらに届くはずだった彼女と今届いた彼は・・・」 『香山様のアンドロイドはそちらにお送りしてしまったアンドロイド回収時にお送りします。・・・香山様、お聞きしますがアンドロイドはもう起動しておりますか?』 「いえ、まだ箱を開けただけです」 『かしこまりました。それで重ね重ね申し訳ありませんが1ヶ月程 香山様の方でそちらのアンドロイドの保管をお願い出来ませんか?』 「1ヶ月・・・」 僕はちらっと箱を見る。 デカイし邪魔だけど、でも1ヶ月。 1ヶ月だけ耐えたら・・・。 「分かりました」 『ありがとうございます。 それでは宜しくお願い致します』 電話を切り、僕はもう一度彼を見る。 艶やかな黒髪に健康的な肌色。 整った顔にTシャツ越しに分かる細身だけど鍛えられた身体には男らしい魅力が詰まっている。 (睫毛長い。あ、チラッとお腹見え・・・筋肉割れてる、すごっ) 蓋をしようとしたはずなのに思わず見惚れてしまう。 (・・・本当にアンドロイドなんだよね?大丈夫だよね?) あまりにも精巧な作りの彼に好奇心に負けて頬にそっと触れる。 「肌綺麗、すべすべ。これ、本当に本物じゃないの?」 髪は指の隙間からするっと零れるぐらいサラサラしていた。 そして箱の端の方に小さい冊子とスマホが入っているのに気づいた。 「『恋人アンドロイド』・・・『虎牙(たいが)』?」 『虎牙』というのはこのアンドロイドの名前だろう。 そういえばアンドロイドのアンケート時に名前を先に決めるかどうかというのがあったから、多分 彼を頼んだ人も先に決めたんだろうな。 僕は冊子を開いて目を通した。 【この度は『恋人アンドロイド』のモニターにご協力してくださり誠にありがとうございます。 初めにアンドロイドの起動の方法ですが、名前を呼ぶと起動致します。 まだ名前をお決めになっていない方は同封しましたスマートフォンから名前を入力してください。】 「名前って・・・うわっ!」 いきなり誰かに肩を掴まれ、そのまま振り向かせられる。 そこには先程まで箱にいたはずのアンドロイドかいた。 「う、嘘・・・っ」 起動させてしまった事に動揺していると、 彼はクイッと僕の顎を上に向かせる。 イケメンで背も高いのか。 なんて羨ましい・・・って今はそんな事思ってる場合じゃない。 「・・・まあ、女みたいな綺麗な顔してるし大丈夫だろ」 「え?」 「初めまして。俺は虎牙だ。よろしく」 吸い込まれそうな黒い瞳に戸惑ってる自分が映っているのがわかる。 「あの、虎牙さん。その事なんだけど・・・」 「どうした?」 「その・・・ごめんなさい!」 僕は頭を下げる。 「僕、あなたを起動させるつもり 全く無かったんです!」

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