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一
外見骨格ともに男性に見える両性が受けです。
美形ではありますが女性的な見た目ではありません。
妊娠ネタありきです。
悲恋要素はありませんが両片思い要素はあります。
ご注意ください。
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一目見て彼は自分のものだと確信した。
今となってはどうしてそんなことを思ってしまったのか理解できない。
あれほどまでに強く間違いないと判断できた理由が自分の愚かさ以外に説明できない。
オレの第一印象から今までいいところはなかっただろう。
振り返ってみれば面倒で煩わしい手のかかる弟でしかない言動を繰り返していた。
実際には弟でもなんでもないので嫌がられても仕方がない。
自分が正しいとか人より偉いだなんて考えたつもりはない。
それなのにオレは彼は自分のものだと勘違いしていた。
なぜだか強く思い込んでいた。
木鳴 弘文 は下鴨 康介 のものだと信じ込んでいた。
そんなものは性質の悪い妄想にすぎないのだと今ならわかる。
オレは彼になら何をしてもいいと思っていた。
当然許されると思ってわがままを言って束縛をした。
そのことで憎まれ恨まれるなど想像もしていなかった。
彼の目にある殺意に心が折れる。
首を絞められていないのに呼吸が止まる。
死んでしまいたい。
はじめからオレと彼の間には何もなく勘違いだけがあった。
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