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番外:下鴨家の人々プラス「海問題12」
下鴨鈴之介視点。
コウちゃんの中高の同級生である瑠璃川さん。
弘子の先輩の叔父さんに当たるらしい。
意外なところで繋がるものだと巡りあわせに感心しているとヒロくんは通っている学校が学校なので不思議ではないと言った。
俺と弓鷹と弘子は同じ小学校に通っているがこれは下鴨指定の私立校。
下鴨家から俺は進学先の指定を受けている。
小学校はコウちゃんと一緒のところなので文句はなかった。
中学高校はそうじゃない。不満を口にする資格はないのかもしれない。
下鴨の跡取りとして決定には従うべきだ。
けれど、周りにもいるそれぞれの家の跡取りたちはもう少し自由にやっている。
彼らを羨ましいとは思わないが、せめてコウちゃんとヒロくんの足跡をたどってみたい気持ちがある。
自分のまだいなかった時間への興味なのか恋しさなのか分からない。
今後のためにも知っておかなければならないと強く思う。俺の子供がコウちゃんと似たような生き方をしなければならないのだから、わかっていたい。子供として親の昔を知りたい気持ちよりも、未来の親としてまだ見ぬ子供のことへの好奇心があるのかもしれない。
コウちゃんが幸せじゃなかったら将来生まれる俺の子供もまた幸せにはならない。
そう思うとコウちゃんには常に笑っていてほしい。
こういう真面目な話を弘子は「好きなら好きって言えばいいのに?」といつかの俺の発言を持ちだして笑う。
女の子は大人ぶるものなのか「言い訳と保身でコーティングしたのが男ならば、おにいも一端(いっぱし)の男性と認めざるえない」と言い出していた。
学校で同級生たちを見ていると自分のぬぐい去れないファザコン疑惑に居心地が悪くなる。妹にそれを隠そうとしているのを見破られるのもまた恥ずかしい。
弟である弓鷹が微妙な顔をするようになったのも昔みたいに俺が「コウちゃんコウちゃん」と言わなくなったからかもしれない。俺は同級生の嘘と欺瞞を嫌っていた。それなのにいつの間にか俺は同級生に合わせるように大人の顔をしようとしている。
大人は物わかりがよく理論的で合理的であるという思い込みはコウちゃんによって砕かれる。
それは小学校高学年になった今の俺も以前と変わらず心地いい。
弘子の言う通り好きなら好きだと思っていればいい。親を嫌っている周囲に合わせる必要はない。
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