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番外:下鴨家の人々 「長女の考察?3」

「長女の考察?1」とは別の日?  自分で作った家族のプロフィールを見ていて私は渋い顔になる。  これは触れてはいけないのかもしれない。   「コウちゃんとヒロくんの嫌いなもの苦手なもの怖いもの……」    子供として踏み込んではならない場所かもしれないので空欄にしてしまった。  得意なものはいくつでも思いつくのに短所となるものは思いつかない。  モテすぎると書くのが正解だろうか。   「虫とか怖い話とかそういうの全然平気そう。平気に見えるだけ?」  ちょうど廊下を歩いていたお雛様を室内に招き入れたらマッチョたちは部屋から出て行った。  どういう気の使い方なのか分からない。雇い主の短所には目をつぶる出来た人々なんだろうか。   「康介くんは分かんないけどヒロは」 「それ、私が聞いていいやつでしょうね? あとでヒロくんが落ち込んじゃわない?」    男性には意外にもデリケートな部分がある。    有名人と二世タレントが出て語り出す中で話の流れでヒロくんが「深弘に嫌われたら生きていけない」なんていう趣旨の親バカ発言をした。テレビ出演者と親バカ度で張り合いたがるヒロくんだけど「私は?」と聞くと「まあ頑張る」と返された。  そこはもっと違う返し方があるでしょうとツッコミを入れる前にコウちゃんが期待した顔で「オレは?」と聞くと「はあ?」と返事にすらなっていない答え。  聡明なる次男が「コウちゃんはヒロくんの子供じゃないから今の話の流れで入ってくると思わなかったって」とマイルドな内容に通訳をする。    気を取り直したコウちゃんが何事かヒロくんに耳打ち。  ヒロくんは軽くうなずくだけで終わった。  なんだそれはと立ち上がりかける私をなだめたのは次男だった。    次男弓鷹は「照れてるだけ、男はそういうもの」と私に言ってきたけれど信じられない。  でも、コウちゃんが怒るでも悲しむでもないのでヒロくんの真意は照れということにしておく。  納得いかない気持ちになりながらも飲み込むしかない。    空気を読まない長男鈴之介が「ヒロくんは大体なに言ってんだコイツって思ってる気がする」と大学受験の参考書を読みながら言い出した。それが本当でも口にするべきじゃないと私が言う前に深弘がクッションを投げた。このごろハマっているらしい。リビングからクッションがなくなる日も近い。    クッションを投げつけられて肩を落とす長男。  ホコリが立つからやめろと注意するヒロくん。  コウちゃんをレゴ部屋に引っ張っていく次男。    チーム男子はいつでも女子に翻弄される。    やることがない私はテレビのチャンネルを変えた。    コウちゃんはホコリが立つと咳き込んでしまう。  昔からの体質だという。デリケートだ。    

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