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第2話

 酒をちびちびと飲み続ける色白のケイの頬が薄っすらと色づく。先ほどの情事を思わせるようなとろんとした瞳にリースはドキリとした。    男性客が多い店内は時間がたつにつれ騒がしさを増していく。スーツ姿の酔っ払いにケイが絡まれ出すと、リースはテーブルの下で自分より一回り小さな手を握った。 「イコウ、モウノメナイ」 「飽きたの?」 「イヤ、フタリキリにナリタイ」 「やきもち?」 「Mochi? Nah I can’t eat anymore(餅?もう食べれないよ)」  ふふっとケイは笑うとリースの手をゆっくりと払い、自分より逞しい太ももに指を這わせた。ホテルで目にしたリースの裸体を思い出しゴクリと残りの酒を飲み干すと、これからの予定は決まったものだとほほ笑んだ。 「はぁんっ!」  酒のせいだろうか、ホテルに戻ると二人はなだれ込むように部屋に入り、時間を惜しむようにお互いの服を脱がせ合った。  華奢なケイの腰がゆらゆらとリースの上で揺れ、鎖骨に残る噛み跡が動きに合わせてふわふわと花咲く。体の下でがっしりとケイを支える逞しい男の額から汗が流れ金色の髪を濡らした。 「ゃん、待って、だめ、奥突かないでっ、んーーーー!」  白濁を飛ばした色白の体を受け止めるとリースは己の絶頂を追いかけ腰を動かした。大人になり切れていないケイの唇からは熱い吐息が漏れる。今、やめろと言われても無理な話だった。そのくらいリースはケイの体に味わい、ケイもそれに応えるように離さなかった。 「ケイッ」  ポツポツと降り注ぐ雨の音は、愛液にまみれお互いの体を求めあった二人を清めてくれるような爽やかさを生んだ。  気を失うように眠り、朝の光と共に目を覚ますとまともな食べ物を口にする前にまたお互いの体に触れあう…そんな日々が1週間続いた。リースにとっては、何とも思い出深い旅となったのだ。   「これ」  空港までは行かない、と言ったケイはリースに名刺を差し出した。いつかまた会う日が来るかもしれないし、これが最後なのかもしれない。どちらにしろ、連絡先が分かっていれば気が向いた時に、運が良ければ、世界のどこかでもう一度会えるかもしれないから… 「See you when I see you(またね)」  2人の別れはあっけないものだった。思い返せば、出会いもあっけないものだったのだが。 『――ありがとう。 Until I see you again(また逢う日まで). Rhys(リースより)』  空港の土産屋で買った便箋を封筒にしまうと、リースはスーツケースを掴んだ。もらった名刺に書いてある住所を書き込み、郵便ポストに入れるとこの旅の終止符が打たれたような気がした。  さて、次の旅はどこにしよう。  これだから行き当たりばったりは楽しい。

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