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ケモノの湯浴み8

「……うぅ……っ」 「……かおる」 顎をやんわりと掴まれ、振り向かされる。お互い、乱れに乱れた吐息をぶつけるように、唇を食んだ。ちゅ、ちゅ、と瑞々しい音をさせながら、粘膜や舌を絡め合う。 脳髄がぼうっと痛い。身体は力が入らず、ふにゃふにゃだ。 朔ちゃんの右手は依然、俺の萎えた性器をいやらしく撫でていた。尿意とも射精感とも違う、表現しがたい感覚が下半身を巡りだしたのは、口づけを解かれて間もなくのことだった。 「……あ……っ、さくちゃん……でる、出ちゃう……」 立ち込める湯気の中、潤んだ視界に朔ちゃんを映す。涙声でそう訴えれば、朔ちゃんは気怠さと雄臭さを綯い交ぜにした笑みを浮かべ、俺の唇にまた吸いついた。 「出せよ、見ててやるから」 「んん……っ、はぁ、ッ……あ、あ……出る……っ」 括約筋が弛緩した。と同時に、上半身がエビ反りとなり、目の前に真っ白な閃光が広がる。 ぷしゃっ、と炭酸飲料のボトルを開けた時のよう音が下方から聞こえたが、そちらに目を向ける余裕などなかった。俺はただ、高まった声を口の端からぽろぽろと零すのみだった。 「っ……ぁ……あ、っ……」 ずるりと、硬さも大きさも残る猛りが、腹のなかから抜かれる。数秒遅れて、吐き出された精液がだらりと垂れ出てくるのを感じた。 埋められていたモノがなくなり、ぱっくりと空いた穴がもの寂しげにひくつく。それと連動するように、腰のあたりが燻りだし、知らず内太ももを擦り合わせた。 「馨……」 「……ん」 名前を呼ばれ、身体を反転させられた。朔ちゃんと向き合い、すがるように広い背に腕を回す。朔ちゃんも、しっかりと抱擁してくれた。 「平気か?」 「……温泉、汚しちゃった」 質問の答えになってないのは分かっている。けれども涙が止まり、理性が少しだけ働きだし、心身ともに冷静になりつつある今、罪悪感が胸底を這い出し、どうにもむずむずとしてしまっていた。 朔ちゃんは軽く笑った。 「どっかに流れてくだろ」 「……声とか音とか、絶対に聞かれてた」 「でも、興奮したろ?」 「……した」 小さな声で認めれば、今度はふふんと上機嫌に笑った。それから俺の頭に何度かキスをし、耳朶を甘く噛んでくる。 「なぁ……、まだ足りないわ、俺」 「……っ」 その一言にぎょっとしていると、下腹部に熱を孕んだ芯を擦りつけられ、身がひくりと強ばった。朔ちゃんは低い声で、言葉を続けてくる。 「部屋に戻って、水分補給して、少し休んでからでもいい……お前を抱きたい」 腰の疼きがひどくなる。胸のあたりに微弱電流が走ったかのような痛みを覚え、火照った顔がさらに上気した。落ち着き始めた呼吸が心電図のように振れ、目の前がくらりと揺れる……。 「……俺、へとへとなんだけど」 朔ちゃんの肩に額を擦りつけながら、俺はむくれた声で言った。「逆上せそうだし、頭痛いし、何もしたくないし……」 「じゃあ、もう寝るか?」 ううん、と首を横に振る。 「帰りの運転も、朔ちゃんがしてくれるなら……」 そろりと顔をあげ、いまだケモノの顔つきをした朔ちゃんをうっとりと見た。 「もっと……、俺のおまんこに、おちんちんハメていいよ……」 明け透けに応えれば、朔ちゃんの目が雄臭く鋭く艶めいた。緩やかな曲線を描く口元からは愉悦が滲み、下腹部に感じる溶けそうなほどに熱い棹は、どくり、どくりと脈打ち、さらに大きくなる。 「いっぱいハメて、中出ししてやるよ」 「……うん、して。朔ちゃんの精子、もっと欲しい……」 朔ちゃんは熱い熱い俺の身体を抱きかかえると、余韻に震える唇にしゃぶりついてきた。キスされるだけでも気持ちよくて、幸せで、目の縁からまた涙が零れた。

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