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<誠>1:世界とあいつはキラキラしている!
とにかく、智紀 はスマホで写真を撮るのが大好きだ。
以前はそんなに頻繁に撮ってはいなかったのだけど、SNSで写真を投稿するサイトに登録した頃からそれはもうたくさん撮っている。
「誠ーーっ!新しいタピオカ屋さんが出来たらしいよ!帰りに行こうよ!」
「それって女子が騒いでたとこだろ?台湾で人気店の日本初出店…」
コクコク、と頭を上下に振って頷く智紀。
「絶対、映えるよねーーっ!」
智紀が嬉しそうに笑顔をこっちに向けたけど…
「絶対、並ぶよなあ…」
ついつい言葉に出したら、今度は泣きそうな顔をしている。
「…行かないの〜〜?」
表情豊か過ぎて笑える。
チクショウ、こういうとこが可愛くてたまらん…!
「いいよ、帰りにな」
「やったー!誠大好き!」
飛び跳ねて抱きついてきた智紀にヨシヨシと頭を撫でてやった。
****
智紀との出会いは1年前。
クラス替えの際に背が俺より低くて、くりっとした可愛らしい顔をした奴がいると気にしていたら向こうから近づいたきた。
「身長何センチ?!すっごい高いね!」
目を輝かせながら、すっごいキラキラした笑顔で。
(ま、眩しい…!)
それが俺と智紀の運命の出会いだった。
智紀とはそれ以降一緒につるむようになった。けど俺はこのキラキラする智紀を意識せずにいられなかった。
男同士だとか、どうすんだと散々悩んでた時期もあり…
まあ正直、智紀をオカズにして一人でやってしまった事もあり…
そろそろヤバいかと思ってた頃に、智紀があっさり告白してきやがったのだ。
『僕、誠が大好き!付き合ってよ!』
あまりに単刀直入すぎて思わず聞き返した。
だって俺のこと悩んだ日々は何だったのか、とか。もしかしたら夢なんじゃねえ?とか…!
『オマエ…、俺男だぞ。男同士ってのは…』
『だから何?いいじゃん、好きなんだもん』
誠が他の子に捕まる前に捕まえときたいんだよ、と笑いながらアイツは言ってきた。
俺は思いっきり捕まえられた訳だ。
それからというもの、見慣れた景色さえキラキラしてて、これが恋か!と実感した。
あの日のことは未だに忘れられない。
世界の色がキラキラと増したんだ。
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