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<誠>2:暴走をとめろ!

「…2時間待ちって」 放課後、ダッシュして智紀が行きたがっていたタピオカ屋に行ってみた。 案の定大行列で、最後尾にいた看板を持っている店員によると2時間待ちだという。 並んでいる子はほとんどが俺らと同じくらいの女子高生か、大学生だ。 はっきり言って男子2人で並んでいるのは俺らくらいだった。 前後にいる女子高生の視線が痛い… (2時間だったら夕飯、食べられっかなー…) 今晩はハンバーグだと母さん言ってたなー、絶品なんだよなあ… 「まーこーと!!」 「おおお、何だ?」 ハンバーグのことを考え過ぎて、智紀に話しかけられてるのに気づかなかった。 「並んでる様子、撮ろうよ!!一緒に!」 「いいい一緒に?!」 「あ、ちゃんとUPする時は顔は隠すよ!礼儀だから!」 いやそういう問題じゃなくて…、並んでいるだけでも笑われてんのに一緒に写真撮るとか…!! 俺が返事をしないでいると、智紀の十八番(おはこ)「上目遣い」が出た。 「…ダメなの…?」 キューーーーーーーーーーーーーン!!←誠の心臓の音です 「い、一緒に撮ろう!な、なっ」 こんなに可愛くおねだりされて断われるワケがない!! 「やったー!じゃあ、こっち向いて!誠の方が腕長いからスマホ、持ってよ」 二人で自撮りしていると、後ろの女子高生たちの笑い声が歓声になっていた。 あああ、どうにでも言いやがれ! *** タピオカドリンクを手にして智紀が大満足の笑顔を見せてくる。 早速いろんな角度で、写真を撮っていた。 (うーーん) 俺はといえば、せっかくなので注文したタピオカドリンクを飲んでいる。 はっきり言ってこれで2時間待つのか、という感じ。 モニモニした丸い物体がストローを通してドロッと口の中に入ってくる。 …そんなにウマイのか、これ。 (まだ母さんのハンバーグ食ってた方がいいな) しかもこのタピオカ、結構お腹に溜まる。夕飯前に飲むもんじゃない… 「ありがとうね、誠!付き合ってくれて!大好き!!」 抱きついてこようとする智紀に俺は慌てて阻止した。 う、嬉しいけど待て待て!! 「智紀、場所考えろオマエーー!」 小声でそう言うと智紀はいっけねえ、と大笑いする。 本当に、可愛いんだけどこのSNS熱はどうにか何ねえかなあ… 少しだけ気持ちが重くなることがあるんだ。 ま、俺が少しだけ我慢すればいいんだ。 智紀のこんな可愛い笑顔が見れるなら! その時は、そう自分の気持ちに蓋をしたんだ。

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