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<智紀・誠>7:二人だけの写真
写真を撮り出したキッカケは、誠との思い出を残したかったからだ。
初めてのデートで照れながら自撮りをして。
誠がとっても嬉しそうに笑ってたから、僕まで嬉しくて二人の写真を撮り始めたんだ。
本当に小さいことを写真に収めて二人で笑って
そんなので良かったのに
あのサイトに登録するようになって、
みんなが見てくれるって言う優越感と
何が何でもUPしなきゃって
本当に大切な人に寂しい思いさせて。
「まーこーとー!!」
僕は全力疾走して誠の家までたどり着くと、チャイムを何度も押して
誠を呼び出した。
「何だよ、大声で呼ぶなよ!」
慌てて出て来た誠の顔を見て、また涙がブワッと出て来た。
久し振りに近くで見た誠に、涙腺が緩みっぱなしだ。
堪らなくなって、僕は誠にしがみついた。
「な、な…!どうしたお前…」
家の人が出てくるかも知れないけど、構うもんか!!
僕の、人生の岐路なんだ!!
「ごめん!僕、誠にひどいことしてた!誠に、寂しい思いさせてた〜〜!!」
「お、おおお?!」
「だから、もうSNSしない!写真も撮らないから、別れないで!僕のそばに居てよ〜〜!!」
そこからはもう言葉にできなくて泣いてばかりだった。
***
泣きじゃくる智紀に俺はびっくりして抱きしめることすら忘れてた。
俺の身体をがっちり掴んでオイオイ泣いている。
「お、…お前バカだなあ」
「何で!離れるつもりなんだろ?だからメールとかしてくれてないじゃん!!」
大きな瞳で、睨みながらまだ泣いている。
そんなこと、考えてたのか。
泣きっぱなしの智紀が、愛しくて堪らない。
(…ほんっとにお前にはかなわないよ)
俺は腕の中にいる智紀をぎゅーーーっと抱きしめた。
別れようなんて思っていないのに。
ほんの少しだけ、距離を置いてみようと駆け引きしてみただけなのに。
こんなに泣かれるとは思わなかった。
「誠…?」
「大丈夫だ、お前のそばにいるよ」
「本当に…?別れない?」
「俺がお前から離れられないの、知ってんだろ?」
涙でぐしゃぐしゃになってしまった智紀に俺はキスをした。
「良かったあ〜〜誠お…」
こんな可愛い智紀を離してなどやるもんか。
「そう言えば、家の人にバレなかった…?」
ようやく落ち着いていて智紀が呟いた。
オイオイ、今更かよ…
「今日から親、旅行行っててさ。俺一人だったんだ」
「そうなんだ」
ホッとしたように智紀は笑う。
あああ。可愛いよう。
…帰したくないなあ…
「…良かったら、家入る?落ち着くまで」
俺は自分の顔が真っ赤になっていくのが分かった。
きっと智紀にもバレているだろう。
一瞬、驚いた顔をした智紀も真っ赤になった。
「そ、それじゃあ遠慮なく…」
何だ、智紀も男じゃん。
そうだよな、一緒にいたいよな。
「そうだ、智紀」
玄関のドアを開けながら俺は智紀のほうを向いた。
「な、何」
「写真は撮ろうぜ。二人だけのな」
智紀が太陽のような笑顔を見せて俺にキスをする。
「うん!!二人の写真、撮ろう!!」
【了】
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