「え、うそ鈴木くんまで入ったんだけど」 「あそこだけ異世界って感じ」 なんて後ろで騒いでいる人達の声すら、今の俺には届いていなかった。 「何って、遥斗迎えに来ただけだけど？」 「なんで冬馬がわざわざこっちまで来て遥斗と一緒に帰らなきゃいけないわけ？」 「だって遥斗が1人で寂しそ～に帰ってくるのが可哀想で可哀想で...」 誠とバチバチ話しながら冬馬は一瞬俺の方を向いてニヤッとした。 というか俺の事を話してるのに俺自身が全然会話に入って行けないんですけど。 「だいたいなんでお前が一緒に帰って来ないんだよ。なぁ？遥斗？」 「えっ？」 急に冬馬に話を振られて言葉に詰まる。 「そんなこと、お前には関係ないことだろ？」 「おー怖、そんな睨むなよ。とりあえず今日のところは遥斗連れてくから、お前はその後ろの可愛い子でも連れて帰んなよ」 冬馬に言われて後ろを振り向くと唯川が誠のすぐ後ろに立っていた。 「じゃ～な誠くーん」 冬馬は俺の腕を引くと誠を煽るようなことを言って校門を出た。