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あなたが好きだと言ってるじゃない〜起〜3

* そんなこんなで、何とか羽屋総さんの勤める病院に入ることができた。 そして、最初内科に配属され、やっと今現在、希望していた脳神経外科に配属された。 もちろん、2ヶ月の短い期間ではある。 それでも、羽屋総部長と一緒に働けることは嬉しかった。 名前を呼んでもらえるのも、瞳を合わせて話してもらえるのも、触れそうなくらい近くに身を寄せられることも、全部が嬉しかった。 仕事は多忙を極めていたけれども、部長に怒られっぱなしでも、嬉しかった。 今日は外来の患者さんの診察をしていた。 もちろんまだ単独で診察はできず、部長の助手と言う形だ。 午前中の診察が終わり、今は昼休み。 食堂でお昼ご飯であるカレーライスを少しずつ食べていると、空いていた目の前の椅子に体育会系のがっちりした体をした男が座った。 「薫・・・お前さ、もっとちゃんと食べないと体もたねぇよ」 そう言って割り箸を割って、トンカツ定食のトンカツにソースをかける男は、ボクと同期の原大地(はらだいち)だった。 「そんなに一杯食べられないよ・・・」 昔から胃が小さいボクは、自然と少食になっていた。 原くんは、豪快にカツを一切れ口に入れると、すぐにご飯を頬張る。 「オレもう、疲れて疲れて・・・ガキの相手なんて無理だっての」 「まさかの小児科だもんね」 「研修だからって言われれば仕方ねぇけど・・・疲れる!」 見た目のガタイ通り、ずっと体育会系できている彼は、性格もさっぱりと男らしいので、今の研修先の小児科には一番不向きかもしれない。 でも、子供っぽい素直さやあどけなさも残しているので、慣れれば子供の人気者になりそうだ。 「大体子供って体小せぇから、触ったらすぐ骨折しそうだし、いきなり泣き出すし、不機嫌になるし。かと思ったら笑ってどっか行っちゃうし・・・もう訳わかんねぇ・・・宇宙人にしか思えねぇ・・・」 「ふふ、本当に苦手なんだね」 ご飯食べながらよく話せるなと感心しつつ、ボクはカレーライスを一口食べる。 あまり辛くないので、辛いの苦手なボクでも食べられるカレーで助かる。 「早く食べないと午後の診察始まるぞ」 すぐ隣で部長の声がする。 「え・・・?!」 びっくりして見上げると、食事を乗せたトレイを持った部長が立っていた。

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