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「んー!いい天気だな!!」 「そうですね、まさにお出かけ日和です」 「椛、一緒…嬉しい」 「俺も椛ちゃんと出かけれるなんて嬉しいなぁ~」 じりじりと夏の日差しが照りつけるある日。会長ん家に行きたい、と駄々をこねた転校生の手によって俺はリムジンの中にいた。 ん?そりゃ俺も行きたくなかったよ。でも転校生に「あ!螢も一緒に行くんだぞ!寂しいだろうから連れてってやるよ!!」とか言われて何か知らないうちに強制参加だぞ? 俺はあの時に初めて『ありがた迷惑』って言葉を実感したね。 そんでまぁ、俺はどっかの応接室みたいな造りをした、最早車内とは言い難いリムジンに揺られて会長ん家の別荘に向かってるわけだが…。 「楽しみだな、螢!!」 「………ハァ、」 目の前でボロボロと食べかすを溢しながらお菓子を食べる転校生と、そんな転校生のご機嫌をとる為にジュースや玩具を与える役員達を座席の隅で傍観する。 「(…まるで子供だな)」 あーあ…何で俺、こんなとこに居るんだろ。出来ることなら今すぐ帰りたい。 憂鬱な気分で頬杖をつき今一度転校生達を見る。ふと、一緒に来ているはずなのに何故かこの場にいない会長が気になった。 別荘に行く前に少し休憩することになり、転校生は「何か珍しいモン見つけて会長に見せてやるんだ!」と意気揚々と駆けていった。もちろん取り巻き達も付き添いでこの場にはいない。 「螢様は散策に行かれないのですか?」 お付きの運転手である片桐さんに問われる(因みに、一般家庭の俺は様付けというものが慣れなくて止めてほしいと言ったのだが、決まりらしいので仕方なく諦めた)。 「俺はいいです、ここで十分寛げますから」 それにあっちについていった方が寛げねぇしな…。 喧しいのが居なくなり静寂が訪れた中で、気になっていたことを訊いてみた。 「あの、出発した時から気になっていたんですけど…会長はどうしたんですか?」 「薫様ですか?」 俺の言葉に苦笑を漏らした片桐さんが助手席のドアに手をかける。 「薫様なら、此方においででございます」 ドアを開けた先には眉間に皺を寄せて項垂れている、薫様こと会長がいた。 「えぇと…どしたんすか会長、随分グロッキー状態ですけど」 近付いて顔色を窺う。…普段の俺様会長からは想像できない程の弱りっぷりだな。 「……く」 「何ですか?」 そのうち何か呟いたように聞こえたので耳を傾けると、会長は真っ青な顔を此方に向けて口を開いた。 「吐く……ぅ、」 「は?!ちょ、待て待て待てっ」 いかにも吐きますといった感じで手を口元に当てる会長を泉の近くまで急いで連れて行く。何故か片桐さんが持っていたエチケット袋を会長の傍に持っていくと、胃液だけが吐き出された。

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