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第16話

翠side 今日こそちゃんと言わなくちゃ…。そう思って二ヶ月が過ぎた。今日は一人だから、誘って、それからちゃんと言うんだ。 そう意気込んでいたせいか、緊張してうまく楽しめなかった…。そしてついに家に着いてしまった…。 「…あ、あのね……。話さなきゃいけない事があって…」 「うん、なに?」 「……お、男なんだ…。僕……」 「………………」 「……騙すつもりは無くて…あの……その…」 彼はしばらく黙り込んでそれから涙を流し始めた…。ただ、彼自身は泣いていることに気づいていないみたいで、拭う事もなくただ泣き続けていた……。 「……ご、ごめんなさい」 「…………」 「ごめんなさぃ……」 「…いいなぁ……。俺、君みたいになりたかった……」 「…えっ?」 それから彼は家のことを話して聞かせてくれた…。それを聞いて僕も…いつの間にか、自分の家族のことを話していた…。 お互い話し終わる頃にはもう深夜になっていて、泣いていた……。無い物ねだりって何とも悲しいな…。 「俺、バイだから。翠ちゃんじゃなくて、翠くんでも平気だよ…。ただ、俺ネコなんだけど……」 「……僕、バリタチなんだ…」 「…ネコかと思った……。それなら何の問題も無いな」 「人の目とか気にしない人…?」 「気にしないな。俺は何も可笑しくないし、間違った事もしてないからな」 「……そっか…」 それを聞いて、安心した…。嗚呼、彼が恋人でよかったと…。そう、心の底から思ったのだった…。

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