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第1話
─────ある日、
俺は……見てしまった……
ある男の……重大な秘密を────
『あぁ…、ヤッバい……ヤバい…ぃぃ……』
俺、こと 小野寺 泉は退社途中
エレベーターの中で
猛烈な腹痛に襲われていた。
『う…っ…、なんだこれ……なんだ、よ…ぉ……』
痛い……
腹が痛いぃぃ…っ…!
なにこれ…?
なんだこれ…食あたり?
『昼……なに…食ったっけ……っ、う!』
いやいや
そんなこたぁ 今どうでもいい!
トイレ…!
トイレに行かねば…!!
ポーン♪
とりあえず、止まった階でエレベーターを降りて
トイレを目指す。
降りた事ないフロアだけど
造り的には同じハズ……!
足を擦り合わせ、内股で進む。
こんな姿、誰にも見られたくない…けど
そんな事どうでもいい!
早く…
早く…っ
『あっ……あった……!』
助かったぁぁぁぁ!!
☆
☆
『はー♡やれやれ…』
間に合った………
『きっと、あの玉子サンドだ……』
っても買ったのは昨日の夜で
朝、食べ忘れたのをもったいないからって
昼に食べちゃった俺が悪いんだけど……
『夏の常温保存は危険だな……』
うん。
気をつけよう。
スッキリして個室から出ようとした、その時
誰かがトイレに入ってきたのが気配で分かった。
『……っ…』
おっと。
ヤバい、ヤバい…
慌てて開けようとしてたドアから離れる。
フロアが違うって事は
部署が違うって事で
どうせ知らないヤツだろうし
出てってもよかったんだけど…
なんか……
はは……
う、後ろめたい……
ってなワケで
今、トイレに来た人が出るまで待つ事にした。
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