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第7話
「それじゃあ行こうか」
肩を抱かれて、引き寄せられて……
「ワワワーッ」
足!
床についてない!
宙に浮いた俺の体はMSS三上の腕の中。
しがみつくしかないじゃないか!
こんな不安定な体勢ではッ
おのれ、MSS三上ッ
エグゼクティブ・バトラーにこんな格好させて……覚えてろよ!
「勘違いするな」
俺がお前に抱きつくのは、落っことされたくないからだ。
だから………
ぎゅっと………
(抱きしめ返さなくてもいいんだよ………)
「分かっているよ」
耳元で声が囁くのは不安定な体勢だから。
俺が顔を近づけたのでも、三上が顔を近づけたからでもない。
分かってるって、お前
なにを分かってるんだ。
なんで……『結婚しよう』なんて言い出したんだ。
お前など必要としていない。
むしろ邪魔な存在なんだ。
胡散臭いMSSなど。
「お兄様はお前の味方だよ」
お前なんか必要ないって、そう言って……
「私にはお前が必要だ」
俺、人からそんなふうに思われた事、あっただろうか……
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