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第10話
俺は……
深紅の瞳の中にいて、彼岸花畑の住人になってしまったのだろうか。
愛していない。
お前なんか。
胡散臭いMSSなんか愛する訳ない。
(そう答えればいいじゃないか)
なのに。
(答えれば……)
怖い。
俺達の関係が終わってしまうかも知れない。
終わらせたいのに。
終わってほしくない。
愛していないのに。
愛を求めている?
俺は卑怯で、欲張りだ……
「いいんだよ。お兄様に対して、欲張りになっても」
頬を包む手の温もりを離したくない。
俺は、お前になにも与えようとしないで、貰ってばかりで……
「それでいいさ。私達は家族なんだから」
(兄でもないお前が家族まで騙る……)
偽物のくせに。
………でも。
お前の騙る愛情まで、偽物だとは思いたくない。
「本物にすればいい」
お前が
俺が?
「信じれば本物になるよ」
天井を見ている。
俺と天井の間に、お前がいる。
あぁ、そうか……
背中がフカフカだ。俺はベッドに寝かされている。落とされたのに、だから体が痛くなかったんだな。
「落としたなんて、詭弁 だよ」
大切なお前を落とす筈ないさ。
「結婚前提のセックス、しないかい?」
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