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第24話

三上…… あなたがα? 俺をΩにした? そんな話、にわかに信じられない。 でも。 もしも…… そうならば。 あなたは崇の兄で、俺の義理の兄。 結婚しよう……と言ったのは、俺があなたの子供を産める体になったから。 あなたは家庭を築こうとした…… 『お兄様』だと言ったのも。 『愛している』と繰り返し、ささやいてくれたのも。 なに一つ嘘はなかった。 「嘘だらけでもお前を愛したい」 唇が男に奪われる。 「俺はβ、神をたぶらかす人間だ」 厚顔不遜な瞳に捕らえられる。 「手段は選ばない。αを出し抜くためには選んでいる余地はない」 顔を背けたいのに…… 欲しい。 あなた以外の雄が。 「発情期だ。Ω」 子孫を残すため、Ωはαとβを誘惑するフェロモンを振り撒く。 フェロモンを大量に放出期間を、Ωの発情期といい、この発情期の間は…… 「雄が欲しくてたまらないだろう?」 俺は、あなたでない雄が…… あなたじゃなくても構わない! 雄なら、なんでもッ 「俺が満たしてやるよ」 おいで 胸を突き刺す吐息に体が燃える。 ガチガチにそそり立つ脚の間の肉棒が、触ってもいないのに透明な雫を垂らしている。 先走りが止まらない。 「体を愛せば、心も満たされる」 ほんとうだよ…… その間だけは、快楽であなたを忘れられるから。 流す涙は、悲しみを快楽が上書きしてくれる。 「そんな所でヤっていいのか?この部屋は監視カメラだらけだぞ」 口許が薄く吊り上がる。 「管制室に見せたいなら、構わないが……」 「出任せ、だ……」 客室にカメラを潜めるなんて。 あり得ない。 「さぁ、どうなのだろうな?」 嘘に決まっている。 けれども……… 分かっているよ。 夫婦だったんだ。 (お前の優しさなんだろう) そう言えば、俺がお前を選ぶ言い訳になる。 三上でないお前を選ぶ俺への…… 「違うな」 笑みが消えた。 「どんな手段も厭わないと言っただろう」 お前は俺を理解していない。 だから、別れたのかも知れないな……

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