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綿貫碧(わたぬき あおい)2-16

***  懲りてない。綿貫は三沢の部屋で、三沢の顔を見ながらそう思った。  結局三沢は、毎回のように綿貫の「お勤め」の予約をしてくれていた。普通の生徒であれば、クイーンの予約権は一ヶ月で一回だ。生徒であれば誰でも予約が出来、誰の予約をしても良い。上級生のクイーンの予約をすることも出来る。  しかし、生徒会役員は経験者も含めて、優先的に予約が出来るようになっている。一月に複数回予約が出来、誰かの予約を取り消して、クイーンの予約をすることも可能なのだいう。  三沢は、その権利を駆使して、綿貫の予約をしてくれているのだろう。それが嬉しいのと同時に、喜ぶのは愚かだとも思っていた。  三沢は、ベッドに座っている綿貫の膝に頭を置き、甘えるように頭を撫でることをねだってきた。綿貫はそれに苦笑をしながら、三沢の頭をゆっくりと撫でた。  初めて豚を相手にした後、三沢の予約が四回ほど続いた。結局、綿貫は三沢の誘いを断ることは出来ずに、三沢に誘われるままに三沢の部屋で過ごした。  部屋では大したことはしない。三沢のパソコンで動画を見たり、たわいのないお喋りをして過ごすだけだ。  その時間は酷く心地よい。そしてその穏やかで優しい空間に体が慣れた頃に、また豚の予約が入った。  綿貫は1回目に豚の相手をした時と同様、最悪な気分のまま、お勤めを終えた。三沢に与えられる物に慣らされたせいで、こんな惨めになるのだと、再度思った。もう二度と、三沢の部屋には行かないと、そう誓ったのだ。  しかし結局今日も、誘われるがまま三沢の部屋に行き、三沢の与える時間にひとときの安らぎを味わっていた。本当に懲りていない。 「あおちゃん、勉強どう?」 「どうって、全然駄目です」 「ふーん、そうなんだ。教えて上げたいけど、俺は無理だしなぁ」  三沢の言葉に、自分などに時間を割けない事は分かっていると思って苦笑いをした。 「あ、違うよ。俺、教え方が分からないの」  何が違うのだと思って、綿貫は三沢の髪を梳く手を止めた。 「あおちゃんのためなら、時間なんていくらでもあげちゃう。でも、俺、公式なんかなくても、問題読めば答え分かっちゃうの。だから、教えようがないんだ」  頭が良いとは聞いていたが、そこまで良いのかと思って驚く。こういう所はしゅうちゃんにそっくりだ。いや、それだけでは無い。言葉にしなくとも、綿貫の言っていることを理解してしまうところも似ていた。 「三沢さん、ちょっと洗面所借りて良いですか」          

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