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第6話
玉山は弘樹を2階へと誘った。動いてはいないが臀部のバイブが段を上がる度に気持ちいい場所に当たるらしく、普通に歩けず手を付いて四つん這いになって上がる羽目になった。背後からカメラを構えて追う玉山の眼前を、白い丸しっぽが左右に揺れて誘っているようだった。
上がった目の前の部屋に、弘樹はハイハイしたまま進んだ。玉山から指示はされていないが、明らかに違う雰囲気の部屋で、ここだろうとすぐに分かった。一面真っ黒な壁紙、床は真っ赤なカーペット、天井からはシャンデリアがいくつか吊るされ、黒い革張りのソファにアンティーク調のカウンター、中身の入っていないワインやウィスキーのボトルとグラスが並んだ棚。まるで高級クラブのような内装だ。
「あ、そうだみひろ。忘れてたんだけど、これ穿いて」
バニースーツと同じ真っ白なハイニーブーツを手渡される。成人男性が身につけるとピッタリ締めつけるような細さのそれは、うっすらとグレーで花柄模様が全面に入っているが黒い部屋ではとても目立った。ヒール部分も女性用によくある高いものではなく、太めの短いヒールで足を捻らせる心配もなさそうだ。
「立てる? ……そう。で、カウンターに上半身もたれて……横向きに突っ伏す感じで」
「こう……ですか……?」
顔を赤くさせながらレンズを見つめる。空のワイングラスを持ったりワインボトルから注ぐフリをしたりしていると、玉山の熱を帯びた視線に、無意識に達して腹部を汚していた。
「みひろ、やらしいね」
「っあ……」
「触らずにいったの?」
「ご、ごめんなさい……」
「……こっちに」
玉山は弘樹の手を引いて部屋の奥へと進んだ。窓に近い場所に天井からロープが垂れていて、その先端は手錠のような輪っかがついている。それが二本。てっきりいくつもシャンデリアがあると思っていたのは勘違いで、本物のシャンデリアは一つしかなかった。
「手を挙げて」
玉山は弘樹の手首をその輪っかにそれぞれ填めた。ギシギシと軋むロープが部屋に響いて妖しさを纏う。そして、玉山が手にしていたリモコンのスイッチを入れた。
「あぁっ! 玉山、さん……っ」
「手錠もバイブしっぽも取らないよ?」
涙目で玉山を見つめる弘樹に、玉山も自分が興奮してくるのを感じた。手元のスイッチを更に一つ上げる。
「あぁん!」
弘樹の腰が揺れて、バニースーツから太ももに漏れるほど白濁が垂れた。玉山は厭らしい笑みを浮かべてカメラのシャッターを押した。
「そのトロ顔たまらないな」
「ぁ……玉山さん……ごめんな、さ……っ!」
ビクン! と大きく身体を跳ねさせて、弘樹は達した。直後、バイブしっぽが弛緩した弘樹の後孔から鈍い音を立てて落下した。
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