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エピローグ

 コスプレ作品関連イベント当日。その日、みひろのサークルは壁側に配置されていた。最初はフロアの真ん中辺りに配置予定だったのが、コミケを見に来た主催者が慌てて変えたらしいと風の噂で聞いた。 「DVDROMは成年向けなので年齢確認してまーす! 身分証のご用意をお願いしまーす!」  今日の弘樹はクラシカルメイドの格好で売り子をしていた。玉山は今回の目玉である、18禁DVDROMに合わせてバニースーツで売り子して欲しいと頼んだが、あれはもう着れないほど汚してしまった上にしっぽ穴がアウトだと弘樹が断固拒否した。代わりにもう片方の新刊、紙の写真集で着たメイド服を選んだ。玉山に再び列整理を頼み、自分の手で一人ひとりに手渡していく。 「チェキはお一人さま2枚までです!」  玉山が列の後方で叫ぶ。次の来場者が汗を拭きながら免許証を差し出した。 「みひろちゃん、新作2つづつ、あとチェキ2枚とポストカードくじ10枚行ける?」 「はい、ありがとうございます! 全部で、えーと、1万7000円……ですね。チェキ会は16時にBフロアまでお願いします」 「ありがとう。ところでみひろちゃん、」 「はい?」 「どうして、えっちなの出そうと思ったの?」 「え……っと……」 「ぶっちゃけ俺は妄想するけど、一応清純派だっただろ?」  きっちりお釣りのないようにお札4枚を差し出した男の問いに、弘樹は固まった。 「今回えろいのも全部、玉さんの撮影って聞いたから……嫉妬なんだけどね」 「そうですね……」  弘樹は苦笑しながらお札を仕舞い、ノベルティの不織布バッグに頒布物を入れていく。 「大人になりたかった……のかな」 「みひろ、ちゃん?」  頬を染めて、弘樹はバッグとチェキ整理券を男に渡した。 「過去のお礼なので、見て欲しくて頑張りました」  男の後方に見える玉山の姿に、弘樹は撮影時を思い出して身体を震わせた。 (今日、イベントが終わったら、また洋介さんに『お礼』しなきゃ) End

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