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第85話

「焔…焔…」 遠くで声が聞こえる… 「重い…」 目が覚めると妙に頭がスッキリしてた。でも起き上がれないのは… 「何か…乗ってる?」 無理矢理に体を起こすと色素の薄いさらさらの髪 艶々してて綺麗で触れてみた 「焔…」 「おはよ。どうしたの?こんなところで寝て」 「焔が目覚めないから…」 「え?」 「十日です…十日ですよ…?眠りすぎです」 「十日?そうなの?なんでそんなに?」 「お医者様が来てくださって…精神的なものだと…」 「そうなんだ…そっか。ごめんね。心配させて…もう大丈夫だから。母さんたちは?」 「今呼んできますね」 きれいだな…でも… 「焔!よかった…心配したのよ」 「ごめんね」 「どこか痛いところない?きついところない?」 「ないよ。大丈夫だよ。心配かけてごめんね」 「颯くんもずっと心配してここにいてくれたのよ」 「そっか…颯も」 「焔?」 「颯…」 「どうしたの?」 「颯て…さっきの綺麗な子?」 「…っ…あんた…何いってんの?」 「え?」 「眠る前も会ってたじゃない」 「え?…わかん…な…い…」 「そんなこと…」 「…焔…」 「颯。ありがとう。心配させてごめんね。同じ制服だから同じ学校の子なんだね…ごめんね。俺あんまり人のこと覚えるの得意じゃなくて」 「…そっか…。クラスメイトですよ。三葉 颯です。こう見えても男です」 「母さんがくんって言ってるから変だと思った。男なんだね。すごく綺麗だね。女の子だと思った」 「この年になっても言われるとは思わなかったです。体調良くなったら学校来てくださいね。皆心配してますので」 「ありがとう」 「じゃあ。俺はこれで。失礼します」 「颯くん!」 颯を追って母親が部屋から出た。 心配かけて悪かったな…三葉って言ってた。お隣の頼さんとアメリアさんと一緒だ。親戚?にしてはアメリアさんにそっくりだったな。息子さんだったら…知らないわけないしな…変なの

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