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第95話
光藤の言うことは最もだ…こんな違和感だらけの関係なんてうまく行くはずない…どうすれば良いのかな?…
結局八重のことを考えるのを放棄した。好きなのに別れるのは苦しい…自分勝手な考え…もう少しだけ…もう少しだけ側にいよう…
もやもやしたまま自宅に戻りアルバムを取り出す。
確かに小さい頃から颯と一緒の写真が多くあった。
「何で…覚えてないの?俺…何で忘れちゃったの?痛いよぉ…」
胸が痛い…苦しい…颯…颯…
「颯…」
体が先に動いて外に飛び出してた。隣のチャイムを押すと颯に良く似たアメリアさん…
「焔くん!?どうしたの!?」
アメリアさんを見た瞬間涙がこぼれた。人前とか関係なく子供みたいに泣いてしまった。そのままアメリアさんの前に膝をついた
「ごめんなさい…!ごめんなさい…俺…俺…颯のことだけ忘れちゃって…思い出せないの…ごめんなさい…ごめんなさい…」
「…焔くん…ほら…立って。上がって…ね?」
「はい…」
リビングに通されて暖かいお茶をいれてくれた。アメリアさんの国のお茶…アメリアさんみたいに優しい味がした
「落ち着いた?」
「はい…すいません…あの…颯は…」
「部屋にいるわよ。呼んでくる?お部屋にいく?」
「…部屋に行ってもいいのかな?俺…颯がわからないのに…」
「貴方たちはいつもどちらかの部屋で過ごしていたわ。だから大丈夫よ」
「うん…いってみる…」
アメリアさんに促されて颯の部屋のドアをノックした
「颯…俺…」
扉はすぐに開いて颯が顔を出した。颯の目も真っ赤だ…俺のために泣いてくれたの?
そう思うと堪らなくてそっと瞼を撫でた
「颯…ごめんね…俺…颯のことだけわからないの…」
「えぇ。大丈夫ですよ。俺は…貴方が好きですから。お友だちになってください。」
「…やだ…お友だちはやだよ…」
「何言ってるんです」
そのまま颯を抱き締めて部屋に押し込みベッドに倒した
「焔?」
「嬉しい…名前で呼んでもらえるのが嬉しい…颯…颯」
「子供みたいですね。どうしちゃったんです?クールが売りの貴方が…ふふ…可愛いですね」
「可愛くないもん…」
「…焔…大好きですよ。大好きだから…そんな苦しそうな顔しないで?」
「颯ぇ…っうっ…ぐぅ…」
「もう…俺の泣き虫が移っちゃいましたか?仕方ない人だ…」
「ねぇ…俺…俺は…颯のことだけ特別だったの?」
「っ…そうですね…きっとそうだったんです…俺…気付くのが遅すぎました…今は凪くんが…特別なのでしょ?だから…俺は多くは望みません。貴方の幸せが俺の幸せです。月並みの言葉ですが…そう思います…だから…側にいさせて…離れていかないで…」
「うわぁぁぁ…颯ぇ…颯ぇ…ごめんね…ごめんね…ごめっ…」
謝罪の言葉を口にしたら颯が唇で塞いだ。啄むような可愛らしいキスだった…もっと…もっと…欲しくて颯の唇を抉じ開けて舌を絡めた
八重としたときと違う…確かに愛しい…その気持ちはあったのに…それ以上を求めてしまいたくなるのは颯の方…
「颯…颯…」
「っ…はぁ…焔…ん…今だけ…この時間だけで良い…俺のものになって…」
「颯…」
颯のお願いはとても甘美なもので俺は欲望のまま颯の唇を貪った
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