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第94話
カランカラン
懐かしい感じのベルの音がしておじいさんが帰ってきた
「いらっしゃい。君は…この間澪架と一緒に来てくれた子だね。澪架飲み物も出さず…」
「あ!ごめん!うっかりしてた。コーヒーでいい?」
「うん」
「すまないね。いつもはしっかりやってくれるんだけど」
「いえ」
「なんだったら上使っていいよ。何か深刻そうな話をしていたから」
「…いや…でも」
「満留。もう少し付き合えよ。」
「あ。うん」
「じいちゃん。これ持ってっていい?」
「あぁ。構わないよ」
「おいで。満留」
「うん。あの。お邪魔します」
「はい。ごゆっくりね」
2階に上がるとこれもまた懐かしい感じの住宅になってた。
「じいちゃんここに住んでるんだ」
「そうなんだね」
「…てきとーに座って」
「ありがと」
「…っとにお前は…可愛すぎか?」
「可愛くないよ?」
「本当に…ヤバイなぁ」
「またそれ?しつこい」
「…」
「え?」
気付けば光藤に押し倒されてた。似たような体格の光藤に馬乗りになられるとなかなか動けない
「すげぇいい眺め」
「光藤?どしたの?」
「犯していい?」
「なんの冗談?」
「俺でもたたねぇのか試してみたいだけ」
「は?ちょ…やめて…」
「うるさい…」
「やめろって!」
思い切り光藤を蹴り飛ばしてしまった。
「って…」
腹と腰を擦りながら光藤が起き上がる。
「あ!ごめん!!」
「ふふ…やっぱり根本はお前だな。本当に気を付けろよ?隙を作んな。お前が隙を見せていいのは八重じゃない。颯だ」
「でも…俺…」
「颯に会いに行け。頼むから…思い出してやって…颯にはお前がいなきゃダメなんだ…だから…頼むから…」
「…っ…そんな…泣きそうな顔しないで…あぅ…どうしよぉ…うう…」
わからないけど取り敢えず光藤の頭を抱いて撫でた。
「ごめんね…こんなに光藤は…颯のこと思ってるのに…俺…何も…できなくて…ごめんね…」
「ばぁか…謝んな…早く思い出せよ…お前がすべきことはそれだって。そんでそんな不安定な状態で八重と付き合うな。別れてやれ…」
「…ん~…それはわかんないな…だって…颯が言ったんでしょ?俺は八重と付き合うようにって。それ何か理由があるんでしょ?」
「お前はバカなのか?違和感持ったまま付き合っていいことなんてない。戻れなくなる前に別れろ」
「…」
「はぁ…俺は忠告したからな…」
「ありがとう…」
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