2 / 17
第2話
「真城 そういえばお前、初任務だって?」
「うぉっと!!」
先輩の牛島さんに背中を思いっきり叩かれ、前のめりになった。すぐに立て直し、笑顔を作って答える。
「ああ……はい。こんなチャンスをいただけるのは有難いです」
「だよな〜?お前、あそこに移ってからなんか大変そうだったけどさ、頑張れ!」
これでも飲んで乗り切れ!牛島先輩に冷たい缶を渡された。俺はその場で頭を下げた。
「ありがとうございます!」
「おうよ!可愛い後輩の活躍はいつだって嬉しいからな」
「ありがとうございます!」
牛島先輩こと牛島 明 は営業部の三年上の先輩だ。面倒見がよいが、最近、はじめての彼女が出来たみたいで、たまに社内の廊下を右往左往している。
何分かその場で頭を下げ続け、ふと顔をあげる。また癖が出てしまったな。……でも、やるか。
「………って、先輩。こういう時は普通、缶コーヒーなんじゃ……」
『ぷるぷるぶどうゼリー』と書かれた缶ゼリーを見つめながらその場で苦笑いをした。
ともだちにシェアしよう!