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第15話
便座の蓋に恵花の腰を下ろす。冷たかったのかピクンと小さく跳ねていた。可愛い。
「はぁ……、いいのか?」
腰をかがめ、同じ目線になって彼の左手を手に取った。柔らかくふにふにとした手はあったかくて気持ち良く、迷いのある心さえ溶かしてしまいそうだ。
そんな彼の指が俺の手と手の間を通り、絡め合う。
「僕が言っても信用性がないかと思いますけど……。これからは真城さんだけがいいんです……」
もう片方の手が俺たちの絡み合った手に重なる。手が心臓のように鼓動し、
「んっ、ふぅ……」
受け入れた恵花の唇は柔らかく、それを合図に唇まで心臓になってしまった。心臓が心臓に触れ、熱を吹き出す。
(恵花の体液、甘いな……)
角度を変え、キスをする。最初はゆっくり堪能していたものがだんだんと激しくなり、そのうち扉をこじ開けた。
「っ、ふぁ……ふ……ッ!!」
「ん、ッ……ふぅ……」
ツー。銀の糸を引き、泡となった雫は真ん中で落ちた。恵花は目をとろんとさせて半分しか開けてない。その瞳の奥に小さな♡が見えた。
「……気持ち良いか?」
俺の問に恵花は混ざった唾液を飲み込みにくいのか、何度もはふはふさせていた。唇の端から涎となって流れる。
「っ、ふう、ふう……!!気持ち…良いです……」
恵花の腕が首に巻き付く。俺の体に吸い付くようにピタリと腹、顔、次第には足まで俺に絡もうとしている。
「ちょっと待ってな」
「ふぇ……??わっ……!!」
持ち上げた体は重かったが、恵花を抱えて回り、今度は自分が腰を下ろす。
「これならより引っつけるだろ?」
丸い目を大きく開き、ビックリした顔は面白いものだったが、恵花は耳まで真っ赤にさせて大きく頷いた。それから少し恥ずかしそうに目線を下に向けた。
「真城さん……あの、お願いが……」
密着した体は熱く、相手を求めていると悟った。
「しても、いいか……?」
「……!!おね、お願いします……っ」
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