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11《東洞家》
そして翌日。
あれは夢なのか、ゆたかが苦しむ姿…
いや、夢なんかじゃない…
今もゆたかは苦しんでいるんだ…
必ず助けてやるから…
そう心に誓った。
東洞と、ゆたかを助ける日だが、仕事を疎かにも出来ない為、普通に出勤して…
いつものように終業。
そして、東洞尊の家へ。
意外と遠い東洞の家、郊外に出て、しばらくして山際に建つ豪華な日本家屋に到着する。
「すごいな…」
旧家の佇まい。
「どうぞ、こちらです」
感心していると、東洞が笑顔で招く。
案内された場所は、十畳ほどの広間…
「清浄な気が溜まりやすい場所で、主にお祓いとかする部屋なんですよ、少し待っていてくださいね」
「あぁ…」
部屋を後にする東洞。
清浄な気と言っていたけれど、何だか息苦しく感じる…
俺に妖怪が取り憑いているからか?
重い空気がまとわりつく感じだ…
しばらくすると、東洞が薄水色の袴に着替えてやってきた…
髪を下ろし綺麗にといているため…巫女に近い格好だ…
「その格好…」
「これがうちの霊媒師の正装なんです、今回の敵は少し厄介なのでこちらもフル装備でいきますね」
「東洞…」
「あと、こちらのものは全て清めてありますから触らないでくださいね」
何やらお祓いに使うものなのか箱に入った綺麗な器具がある。
「お前、仕事はあんなに出来ないのに…別人のようだな…」
つい口を滑らせてしまうが、それほど会社の頼りない新入社員のイメージが一変する。
「もう、それは言わないでください!ええと、19時ちょうどに始めます、ゆたかさんのこと、よろしくお願いしますね」
苦笑いする東洞…少し和んだ雰囲気になる。
「おう!っていうか、家の人とか手伝って貰わなくていいのか?」
「はい、霊媒師は基本1人で立ち向かいます、複数霊媒体質の人がいると敵が隠れ蓑に使って逃げられる可能性があるから…」
「そう、なのか…、まあ、お前も無茶するなよ…」
「はい、ありがとうございます」
にこっと微笑む東洞。
「……」
精神統一をするためか、そのあと瞳を閉じ正座で時を待つ…
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