10 / 42

10《一生の後悔》

その日の夜、俺はなかなか寝れなくて、寝返りを繰り返していた… 30年前…まだ中学生だった自分… ゆたかが亡くなったと知った時… そんなこと信じたくなくて…必死で否定した… けど… 病院で変わり果てたアイツの姿を見て… なんとも言えない悔しい気持ちに心が締めつけられた… なんで助けてやれなかったのか… 気づけなかったのか… なんで俺は突き放したりしたんだ… ゆたかのことを解ってやれなかった… 毎日、毎日…後悔の繰り返し… 謝る為、自殺したゆたかのマンションに毎晩通ったけれど… その想いが薄れることはなかった… ゆたかを助けたい、もう見殺しにはしない… ゆたかが死んだ日に感じた無力感を二度と味わいたくないから… 『…け…す、…けいすけ…』 (声…?誰だ?) 『…啓介…苦しい、助けて…』 (っ…ゆたか!?) (ゆたか…なのか??) 突然、迫り来る威圧感…圧迫感… 気づけば身体の自由が効かなくなっている… (っ…か、身体がッ…金縛りッ?) 焦りながらも、身体を動かそうともがくが… 声も出ず、手や足はおろか、指先を動かすことも出来ない… そうこうしていると… 足元から…黒い塊が腹の上にせり上がってくる… (ッ…なんだ、ッ…くそ!) その塊を凝視していると… 中央に…人らしき影が… (…ゆたか!?…ゆたか!!) それは在りし日のゆたかの姿だった… 黒い霧の化け物に締めあげられている… 『…たすけて、啓介…』 (ゆたかッ!助けるからッ今度は、必ず!助けてやるから!!ッ…) 数分間か…数十分か… 金縛りは続き… 気づけば俺は、気を失っていた…。

ともだちにシェアしよう!