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第31話

「悟…戻ってこないな」 「…ああ」 会話が続かない。 一向に帰ってくる気配がない。 「やっぱり…」 「言いすぎたとか考えてる?」 「うっ」 図星をつかれる。 龍二は1つ息をついて言う。 「あんなん、悟が可哀想なだけだろ。自分の気持ちを受け入れてもらえない、諦めるとかアイツらしくない」 確かに、と納得する。 それに最近の悟はどこか疲れているようだった。 「俺は悟のために言ってんだよ。ずっと一緒だったからな」 そう言えばそうだ。 悟と龍二は家族ぐるみで仲が良くて、俺よりも一緒にいる仲。 大切に思わないわけが無い。 俺にはそういう奴がいないから少し羨ましく思う。 「悟に連絡してみるか」 「放っておくのが1番だけどな」 と龍二が笑う。 それにつられて俺も軽く笑った。

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