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第7話

 まるで生きもののように意志を持って入り込んでくるゲル状のものは、ほぼ液体なので痛みはないが、逆流という未知の感覚が恐ろしく、ブルブルと体が震えた。 「ひ、…ぃ、…や……ッ」  尿道を満たした粘度の高い液体は、奥まで進むと突然硬化した。  それがある一点ににあたり、びくんと大きく腰が揺れる。 「……ぁ……っなに、こ、れ……っ」  びくびくと勝手に体が跳ねて、開きっぱなしの口からは涎が溢れた。  硬化した細いものが優しく出たり入ったりする。  抜かれる時には、射精に似た排泄の快感が背筋を這い上がり、頭が白くなるような気持ち良さに感じ入った声が漏れ出た。 「随分とそこが気に入ったようだな。だらしない顔になっているぞ」 「違、…あ、あっ、あ、あーっ…」 「違わないだろう。後ろの方も物欲しげに涎を垂らしている」  大きなものを受け入れていた蕾からは、トロトロとスライムの放った粘液とまどかの体液とが混ざり滴っていた。  この男に解放を期待しても無駄だとわかっていたが、他に縋れるものもなく、もうやめて欲しいと快楽に陥落しかけた瞳を向ける。  視線が絡むと、九頭龍は「わかっている」というように頷いた。 「安心しろ。後ろには私がくれてやる」  違うそうじゃない。(三回目) 「や、ち、がう…、あ、あっ」 「お前のイキ狂う様を、見ていてやろう」 「い…や…みない、で……やめ、っ、」  懇願とは裏腹に、男の視線を感じただけで、細いものに塞がれた孔の隙間からは、プシャっと期待しているような飛沫が噴いた。  九頭竜の影から、ぞわりと触手が這い出す。  ぬるぬると糸を引く触手たちは、我先にと争うようにして、まどかの後孔へ殺到した。   「ひ!…っく、あーーーーーっ!」  ずぶりと中に潜り込んだ触手は、容赦なく内部を蹂躙する。  スライムが刺激し続けている、管の奥の感じるポイントを後ろからもグリグリと擦られて、瞠目して激しく身悶えた。 「あっ、ぁあっあっあっ、いや、も……いやぁ……っ」 「もっと絶望する顔を見せてくれ」  まどかの痴態を眺める無慈悲な九頭龍が、目を細めた。  視線に撫でられたような心地がした瞬間。  まどかは全身を震わせ、前と後ろ、両方の絶頂を同時に味わったのだった。  やがて静寂が訪れる。  悍ましい声を発していた魚人達の姿も今はない。  ぐったりと横たわるばかりのまどかに、深い海の色の瞳が向けられる。  まどかの体は青白く発光し、次の瞬間には汚れも乱れもない、元のTシャツにハーフパンツという装いに戻っていた。  僅かに意識を働かせるだけで、万物がその意に倣う。それこそが神の力だ。 「お前達は無能で脆弱で、本当に何の役にも立たない存在だが…暇つぶしにはなるな」  形のいい唇が、うつくしく弧を描いた。 「中でもお前の絶望する表情は、中々気に入っているぞ、まどか」  まどか、と。  初めて名を呼んだ声が、意識を完全になくしている少年に届いたとは思えない。  だが、聞かせる意図のない男の言葉に、ぴくり、と微かに指が震えた。

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