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エピローグ

 気付いたときには部屋のベッドの上だった。  着ているものには汚れも乱れもなく、…ただ、ずぶずぶとベッドに沈んでいきそうな倦怠感だけがあった。  恐々起き出すと、相変わらず九頭龍はスーツのジャケットまで着込んだままナイフとフォークでさきいかを優雅に召し上がっており、妙に力が抜ける。  結局あれが夢なのかそうじゃないのかはわからないままだ。  ただ、豪雨はおさまり、地球には平和な日常が帰ってきた。  まさか自分がビキニアーマーでスライムとの戦いを神に捧げたからとか……いや、流石にそれは奴の言動に毒されすぎだろう。  まどかの住む地域に発令されていた警報も解除になったので数日ぶりに登校した。  教室に到着すると、仲のいい一団が何やらわいわいと盛り上がっているのが目に入る。その日常風景は、あれをただの悪夢だと思わせてくれた。 「小学生かよ。そんなもん持ってくるなって」 「いや、弟に付き合わされて作ったんだけど、もはやこれは子供のおもちゃにとどまらないものなんだって!お前も自作してみ?ハマるから!」 「熱弁しすぎだろ。なー、高良、どう思う?」  戸口に佇むまどかに気付いた友人が、話題を振ってきて慌てて近寄る。 「えっと、何が?」  これ、と無造作に差し出されたものを見て、目を見開いた。 「スライム。確かに面白いかもしれないけど、何も持ってくることないよな」  それは、ぶよぶよとしていて不定形の。  蘇る、吼えるような悍ましい大歓声。  スライムが体内に潜り込む感触とゲル状のものがぼとぼとと先端から出てくる排泄に似た悦楽。  触手が狭い場所をいっぱいに満たして………………、 「あ………ああああああああああああ!?」  まどかは絶叫して、昏倒した。  意識を失う寸前、戸口にニヤリと笑う金髪を視界の隅に捉えながら。

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