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序
俺の腰に腕を回し隣を歩く、この世の“王”とも見える男、風見雅人 は、部屋に入った途端その腕を外し俺の目の前に立った。
後ろでオートロックが作動する。
風見は何も言わずただジッと俺を見つめていたかと思うと、徐に頬へと手を伸ばした。
「緊張してるのか? 表情が堅い」
頬をひと撫ですると、今度はその美麗な顔を憎たらしく歪ませる。
「安心しろよ。どうせ今から前後不覚になるんだ」
羞恥心なんて直ぐに吹き飛ぶ。
そう言って風見は鼻で笑うと、そのまま固まっている俺の唇を同じ熱で乱暴に塞いだ。
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