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【VD会話文SS】1♡アキラ×葉璃 編

◇ ◇ ◇ 1♡アキラ×葉璃 編  ドラマの撮影終わりを狙ってアキラさんを待ち伏せしていた俺は、両手で抱えるほどの大きな紙袋を抱いてドキドキと戦っている。  怪しげに地下駐車場の入り口に佇み、気配を殺す。  それでも幾人かのタレント等と遭遇し、暗がりに居た俺を見付けて「幽霊かと思った!」と驚かれた。  芸能界に入って一年、二年とその世界に馴染んできたせいで、知らず知らずのうちに気配の消し方を忘れているのかもしれない。  ちなみに連絡もせずに来たのは、待ち伏せしてでもサプライズで渡したかったからだ。  佇む場所からアキラさんの愛車であるS450(聖南に教えてもらった)は確認しているので、まだ局内に居るのは間違いない。  撮影の終わり予定時間も成田さんに聞いていて、それが多少伸びたところで構わない。  サプライズ前でドキドキしている俺が紙袋を抱え直したその時、入り口から目的の人物が溜め息を吐きながら出てきた。 「──あ、アキラさん!」 「えっ!? ハル!? ……一人?」 「はいっ!」 「どうしたんだよ、こんなとこで。俺の出待ちみたい」 「それです! 出待ちしてました!」 「あはは……っ、そうなんだ? どうした、またアイツが何かやらかしたとか?」 「いえ違いますよ! これ! これをアキラさんに渡そうと思って」 「……なに? てか車行こうか。すげぇ見られてる」 「あ、っ……すみません……っ」  〜アキラさんの愛車へ移動〜。。。"8-(*o・ω・)oテクテク 「これ俺に?」 「はいっ、受け取ってください!」 「ありがとな。……しかしデケェな。何入ってんだろ」 「今時間あるなら、開けてみてほしいですっ」 「あぁ、じゃあ開けてみる」  〜アキラさんプレゼントを開封中〜……(,,•﹏•,,)ドキドキ…… 「え、……?」 「え?(*‘ω‘ *)?」 「ハル、……あの……ありがとう。ありがとうなんだけどさ、……んーと、……」 「バレンタインなので!」 「えっ? あー、……なるほど。それで俺にプレゼントを?」 「そうです! 日頃の感謝を込めて!」 「いや、めちゃめちゃニコニコなのマジで可愛いし、出待ちまでして渡してくれたのは嬉しいんだけど。俺にこのプレゼントを選んだ理由って聞いていい?」 「理由ですか? それは……アキラさんっぽいかなって!」 「えぇ? 俺ってデケェうさぎのぬいぐるみのイメージなのか!?」 「あ、そういう〝っぽい〟じゃなくて、アキラさんうさぎが好きでしょ?」 「……俺が? うさぎを? 可愛いとは思うけど……」 「だってアキラさん、仮装パーティーのとき不思議の国のアリスが好きだって……(´._.`)」 「あぁ! そういう事か! ハル、あの時うさぎの仮装してたよな!」 「なんか……すみません……戸惑わせちゃうもの贈って……」 「違う違う! ごめんなっ? そんな前のこと覚えててくれたとは思わなかったんだ! 嬉しいよ、理由聞いたらちゃんと俺っぽい!」 「う、嬉しい、ですか……?」 「もちろんだ! ハルがプレゼントしてくれたんだぞっ? めちゃめちゃ嬉しいに決まってんだろ! コイツにハルって名前付けて家の特等席に座らせとくよ! あぁ……そんなションボリしないでくれ、ハル」 「……( ´•ω•` )」  焦ってるアキラさんが、一メートル以上あるうさぎのぬいぐるみを後部座席に置いて、シートベルトまで嵌めた。  アキラさんが戸惑ってた原因は、なんで俺がこれを選んだのか分からなかっただけみたい。 「あー……ハルが来てくれて、プレゼントまでくれて、元気出たよ」 「……どうかしました?」 「今日さ、俺珍しくセリフ飛ばしちまって」 「え!? アキラさんがですか!?」 「そう。NG出さないで有名な〝アキラ〟が、今日はマジでダメな一日だった。ちょっと凹んでて、帰ったら酒飲んでふて寝しようと思ってたんだよ」 「そうだったんですか……」 「でも元気出たから、家飲みはやめてハルとメシ食って帰ろうと思うんだけど。セナには内緒で」 「えっ……聖南さんに内緒?」 「たまにはいいだろ、俺と二人でメシ食うくらい」 「まぁ……アキラさんなら、大丈夫だと思います。後々バレても、聖南さんはアキラさんには何も言えない、かも」 「だろ?」  ふっと笑ったアキラさんに連れられて、その夜は回らないお寿司をごちそうになった。  俺に元気付けられたからって。  プレゼントを渡しに来たのに、俺は結局ご飯を奢ってもらい、デザートまで食べさせてもらい、最後は家まで送ってもらって、あげく「ホワイトデー楽しみにしてろ」とお返しの予告までされてしまった。  俺は日頃の感謝を伝えたかっただけなんだけど、CROWNの長男役であるアキラさんは俺の何倍も上手だった。 ʜᴀᴘᴘʏ ᴠᴀʟᴇɴᴛɪɴᴇ ꪔ̤̮ ♡ ♡アキラ×葉璃 編  終

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