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【VD会話文SS】2♡ケイタ×葉璃 編

◇ ◇ ◇ 2♡ケイタ×葉璃 編  CROWNの中で日中一番捕まえにくい人物が、実はケイタさんだったりする。  メロドラマの撮影で地方に居る事も多く、さらに振付師の一面もあるからかあちこちのダンススタジオに駆り出されてると聞いた。  成田さんにスケジュールの確認をして、聖南にそれとなくケイタさんの現在の仕事内容を聞いてみたり、俺に出来る手を尽してようやくこの日が来た。  長丁場の撮影や収録が多い聖南やアキラさんより、日中動き回るケイタさんを捕まえるのがこんなに大変だとは思わなかったな……。  何しろ先週、事前に知る情報よりも早くケイタさんは別の現場に出発しちゃってて、すれ違った。  だから今日ほんとに会えるのか、ちょっとだけ不安だ。  某撮影スタジオに居るという情報をキャッチした俺は、仕事の合間に抜け出して、現在ケイタさんの楽屋に忍び込んでいる。  もちろん成田さんの許可を得て。  〜サプライズなので真っ暗闇で待機中(˶ ̇ ̵ ̇˶ )ソワソワ…〜  ケイタさんが楽屋に戻ってきた。  ──パチッ。   当然すぐに明かりを付けて、暗がりに居た俺と目が合う。 「わぁぁあッッ!?!?」 「…………ッッ!?」 「は、は、ハル君!? どうしたの!?」 「お疲れさまです!」 「えっ、うん! お疲れ様! ……じゃなくて、どうしたの! 見えちゃいけないものが見えたと思って驚いたよ!」 「あっ……すみませんっ」 「いや謝らなくてもいいんだけどね! と、とりあえず座ろうか」 「はい、なんかほんと、すみません……そんなに驚くとは思わなくて……」 「驚くでしょ! 居るはずのないハル君がここに居るのもそうだし、無人だと思ってた真っ暗闇に人が立ってるのもそうだし」 「はい……」  撮影中の衣装を身に着けたケイタさんが、腰掛けて項垂れた俺の頭をヨシヨシと撫でてくれた。  ていうか、アキラさんもケイタさんも、俺を見付けてこんなに驚くなんて……。  おばけの素質あるのかな、俺。 「ハル君どうしたの? 何かあった? 現場近かったの?」 「あ、そうなんです。すぐそこのスタジオで取材入ってて、今休憩中で……あっ! そうだ!」 「ん?」 「ケイタさんにこれを!」 「えっ!? な、なに、? 俺の誕生日十二月だけど……」 「あ……(´゚ω゚`) 誕生日プレゼントも兼ねて……」 「これ、俺にくれるの?」 「はいっ、受け取ってください!」 「えぇ〜嬉しい! なんだろう!? わざわざこれを渡すために来てくれたの?」 「どうしても渡したくて……! あ、あの、ささやかで申し訳ないんですけど、バレンタインだし、……日頃の感謝を込めて……その……」 「えぇ〜えぇ〜! 嬉しいよ! 開けてもいい?」 「はい! どうぞ!」  良かった……。  最初はアキラさん以上に驚かれてどうなる事かと思ったけど、開ける前からこんなにケイタさんが嬉しそう。  誕生日が過ぎちゃってたのは完全に俺の下調べが甘くて兼ねちゃったものの、ニコニコでリボンを解くケイタさんを前に俺も嬉しくなる。  長方形の薄めの箱に入ったそれは、俺にはあまり馴染みのないデザインだからすごく迷って、店内で何十分も吟味して厳選したもの。  喜んでくれるといいな。 「フフッ、なんだろう〜♪ ……んっ、んんっ?」 「んん( '-'* )?」 「わ、わぁ、……! ハル君センスいいね!」 「ほんとですか!?」 「うん! ありがとう!」 「へへっそんな……(*´˘`*)」 「が、骸骨のバックルが付いたベルトかぁ……。トゲトゲもいっぱい……。俺ってハル君の中でロックテイストなイメージなの?」 「いえ、そういうわけではないですよ! ケイタさんはどちらかというと爽やかなイメージです」 「んん?? じゃあなんでこのデザインを……?」 「それは……以前ベルトをファンの方にあげてたじゃないですか。ラジオの公開生放送の時だったかな? CROWNのツアー中のプレゼント企画で」 「あぁ……!! あの時ね!?」 「ファンの方にプレゼントしちゃったから、ケイタさんベルト無くて困ってるかもしれない、と思って……」 「え……いやでも……(ベルトなんて何本も持ってるから困ってはないんだけど……)」 「大きなバックルが付いたベルトだって聞いてたので、もしかして私服ではそういうのがお好みなのかなと……あっ、もしかしてあんまり気に入らなかったですか!? うわぁ、すみませんっ、俺早とちりして……! 取り替えてきま……っ」 「いやいや! ハル君、大丈夫! 気に入ったしめちゃくちゃ嬉しいよ! ありがとう!」 「……(_ _。)・・・シュン」  微妙な表情を浮かべたケイタさんに焦った俺は、よく考えて行動しても空回りする厄介なタイプ。  ケイタさんはそう言ってくれたけど、やっぱりちょっとズレたプレゼントだったかな……。  贈ったベルトは、確かにケイタさんのイメージにそぐわない。  〝大きなバックル付きのベルト〟というヒントだけで、迷わずパンクファッションのお店に入った俺は安直だった……。  しょぼんと落ち込みかけた俺の肩に、ケイタさんの優しい手のひらがトンと乗せられる。 「ハル君、俺こういうプレゼント貰うの初めてかも」 「え?」 「ファンの子とか、スタッフさんとか、そりゃたくさん頂くけど。こういう親しい人からの贈り物って、成人すると余計に機会ないんだよ」 「……そうなんですか?」 「うん。だからね、ハル君が俺に贈ろうって思ってくれて、自分でこれを選んで、直接渡しに来てくれた事がとっても嬉しい。ベルトも大事で嬉しいんだけど、俺はそのハル君の気持ちに感動してるよ」 「ケイタさん……っ」 「ハグ、していい?」 「えっ(⸝⸝⸝°ㅁ°⸝⸝⸝)」 「いい? だめ?」 「い、いい、です」 「よーしっ、じゃあおいで!」 「わぷっ」  ケイタさんにつられて、俺も立ち上がる。  するとすぐに、ギュギュッと力強くハグされた。 「ハル君の誕生日って七月だったよね」 「……はい」 「ホワイトデーにお返しするのはありきたりだから、誕生日までに俺もハル君にサプライズするから、楽しみにしてて」 「えっ(´⊙ω⊙๑)!?」 「フフフッ……セナには内緒ね。サプライズも、このハグも」 「……っっ( 〃~〃 )!」  この日、俺は初めてケイタさんとハグをした。  いつ来るか分からないサプライズを前もって知らされた俺は、誕生日までのあいだ毎日ドキドキだ。  しかも……また聖南には内緒だって。  俺が誰かにプレゼントをすると、その度に聖南に秘密が増えていく。  「ありがとう」と何度も囁いていたケイタさんは、俺のスマホに休憩終了を知らせる連絡が入るまでずっと内緒のハグを続けた。 ʜᴀᴘᴘʏ ᴠᴀʟᴇɴᴛɪɴᴇ ꪔ̤̮ ♡ ♡ケイタ×葉璃 編  終

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