9 / 10

【VD会話文SS】3♡恭也×葉璃 編

◇ ◇ ◇ 3♡恭也×葉璃 編  ETOILEとしてデビューしてから、休みがあんまり取れなくなった。  恭也とは毎日行動を共にしてるわけじゃないし、高校の時みたいに気軽に出掛ける事も出来なくなって、何となく寂しいなって思ってるのは恭也も一緒だと思う。  いつもいつも恭也には本当にお世話になってるし、恭也が居なかったら、俺はETOILEの看板を守り続ける事なんて出来なかった。  仕事に前向きになれてるのも、本番での緊張を和らげてくれるのも、恭也の存在があるからこそ。  聖南への気持ちとはまた別物だけど、ずっと一緒に居たいとても大切な人である事は出会った時から変わらない。  そんな恭也と俺が珍しく二人揃ってオフの日である今日。  すごく久しぶりに、俺は一戸建て住宅が立ち並んだ真ん中にある、恭也の自宅前にやって来た。  紙袋一つと、品物がたくさん入ったスーパーの袋を持って、懐かしい二階建てのお家の前で緊張と戦う。  玄関のチャイムを鳴らして恭也が出てきたら、なんて言おう。  いま忙しくないかな。  せっかくの一人の時間なのにって思われちゃうかな。  でも恭也は優しいから、そんな事思ってても絶対に口には出さない。  やっぱりオフだからこそアポ取ってから来るべきだったかな……?  悩みだすと何分もそこで立ち竦んでしまっていて、後ろにその人が迫ってる事に気付かなかった。 「──もしかして、……葉璃?」 「あっ、えっ? あれっ?」 「わぁ……葉璃だ! どうしたの?」 「あれっ? あっ? 恭也、今日はオフじゃ……?」 「そうだよ。いま買い物から、帰ってきたとこ」 「……それにしちゃ全然変装してないけど……」 「この方が、案外、バレないもんだよ」 「…………これ見てもそう言える?」 「どれ?」  買い物帰りだと言う恭也が、俺から見ても芸能人オーラが出ていて心配になった。  お家に居なかった事にも驚いたけど、恭也が少しも変装しないで外出してる事にも驚いたよ。  俺はスマホを取り出して、SNSに恭也の名前を打ち込んで検索した。  すると、出てくる出てくる……恭也の目撃情報の数々。  タクシーでここまで帰宅したみたいだから追われなくて良かったもの、やっぱり変装ナシじゃバレバレだって。 「あー、バレてたのかぁ」 「ふふっ、呑気だなぁ、恭也(*´ᵕ`*)」 「ところで、葉璃はどうしてウチに?」 「あっ、そうだった! ちょっとだけお邪魔してもいい?」 「もちろん。あ、荷物持つよ」 「いえいえ! お構いなく!( *`ω´)」 「…………? どうぞ」 「お邪魔しまーす!」  〜二年以上ぶりなのでウキウキですo(*ˋ・ ̫・´*)oルンッ♪〜 「久しぶりだなぁ、恭也のお家」 「そうだね。高校の時も、ほとんど、来た事ないしね」 「そうなんだよね。……で、あの……恭也、お昼ご飯食べた?」 「え? うん、外で軽く」 「えぇΣ( ºωº )!!」 「えぇ??」 「なんだ、そっか……そうだよね、もう一時過ぎてるもんね……」 「どうしたの? お昼ご飯の、お誘いに、来たの?」 「えっと……、これを一緒に作ろうと思ってたんだけど……」 「なになに?」  〜恭也にプレゼントを渡しました(*゚д゚*)ドキドキ〜 「ん? タコ焼き器……?」 「せっかくのオフだから、恭也とタコ焼きパーティーしようと思って……」 「そ、そうだったの。それで大荷物、だったんだね」 「でもお腹空いてないなら、これは宮下家の今日の夕食にしてよ!」 「えっ……でもこれ、俺とするために、持ってきたんでしょ? 材料もいっぱい……」 「それは……そうだけど。これ、恭也へのプレゼントも兼ねてるし……」 「タコ焼き器?」 「うん!(⁎˃ᴗ˂)」 「嬉しいけど、何のプレゼントだろ? 俺の誕生日、四月だから、少し先だよ?」 「(⌯¤̴̶̷̀ω¤̴̶̷́)✧ふっふっふっ、二月といえばっ?」 「……節分」 「あ、それも正解なんだけど、他にはっ?」 「……作者の誕生日」 「あ、あぁ! それは知らなかった!」 「て事は、違うんだね? んー……二月といえば、……」 「ハッピーバレンタイン!ヽ(*´∀`)ノ」 「あぁ……っ、バレンタインね。馴染みが無くて、忘れちゃってたな」 「何言ってるの(*´・д・)? 恭也はモテモテじゃん。高校三年の時、バレンタイン前日から次の日までお菓子のお持ち帰りスゴかったよ?」 「食べきれないから、ほとんど葉璃に、あげてたけどね( ˊᵕˋ ;)」 「うんうん、頂いた。ちょうどデビューした年だったし、あの時の校内の恭也人気ヤバかったよね〜」 「懐かしいなぁ」 「そうだね……」  思い出話をすると、二人でしんみりしちゃうのが定番。  友達から親友になって、その頃は二人して未知の世界に飛び込むなんて考えもつかなかったよね。  今や恭也は映画にひっぱりだこ。  たぶん事務所には、ファンの子達からの恭也宛てのバレンタインチョコやプレゼントがたくさん届いてると思う。  だから恭也に限っては、物を贈るのは二の次だった。  昔みたいにゆっくりとした時間を二人っきりで過ごしたくて、オフの日を選んだ。  迷惑だったかな……と、しんみりついでにしょんぼりしかけた俺の手を、ふと恭也が握った。 「そっかぁ。葉璃がついに、俺にバレンタインギフト、くれたのかぁ」 「ついに、って?」 「葉璃は、セナさんのものになっちゃったから、俺は一生、葉璃からは貰えないなって、諦めてた」 「え、……えっ?」 「タコ焼きパーティー、しようよ。二人だけで過ごす時間も、プレゼントのうちに、入ってるんでしょ?」 「…………っ( ⸝⸝⸝• •⸝⸝⸝)!!」 「毎年、二月のオフは、葉璃とタコ焼きパーティーしたいな」 「うん……! そうしよ!」 「その日は、俺が葉璃を、独占できる日」 「……いやそんな……っ(´,,•ω•,,`)」 「噂によると葉璃は、料理がてんでダメらしいから、俺が全部するね」 「…………:( :*'н'*)」 「膨れても、ダメ。利き手じゃない方の手で、包丁握る子には、任せられません」 「じゃあ焼く方するよ! クルッて!」 「……うん、様子を見ようか」 「なんでー! 隠れた才能あるかもよっ?」 「あはは……っ、そうだと、いいね」  夕方まで続いた二人だけのタコ焼きパーティーは、とっっっても楽しかった。  材料切るのもダメ、クルッも一回だけ、あとはぜんぶ恭也に任せっきりになってしまったけど、来年も再来年もパーティーしようねって約束したよ。  ちなみに料理全般が不得意な俺は、〝クルッ〟の才能もあるわけがなかった。 ( *´꒳`*)っ🐙ʜᴀᴘᴘʏ♡ᴠᴀʟᴇɴᴛɪɴᴇ ♡恭也×葉璃 編  終

ともだちにシェアしよう!