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始まり2
――6月10日(日)
朝、リビングの机に置いてある紙袋を持って病院に向かった。
忍のいる病室につく。俺は病室のドアを開け「お見舞い来たぞー」と言い病室に入ると忍はにこにこと「待ってたよ」と言いベッドの横にある椅子に座るよう俺に促す。
「これ母さんから」と俺は座るなり自分の持ってきた紙袋を忍に渡す。「えぇ、そんないいのに。おばさんにお礼しといて」と忍は言いつつなにかな?と袋の中身を見る。中身は桃だ。
「モモだぁ!!」
ぱぁっとと顔が明るくなり瞳をキラキラ輝かせてる忍を見て自分も嬉しくなって自然と顔がほころぶ。
「剥いてやろーか」
俺がそう言うと忍は嬉しそうにやったーとはしゃぐ。かわいい……。
俺は自分が持ってきた果物ナイフでモモの皮を剥き、たべやすい大きさにカットし袋に一緒に入ってた紙皿乗せ楊枝を付けて「ほら食えっ!」といって忍に渡す。
「わぁ、ありがとう。おいしそう~」
そう言いながら桃を食べて美味しい〜と喜んでいる。
「それは良かったな」
「暁斗も食べなよ」
そういうと桃を俺の口へと運び「はいあーんして~」と言ってくる。ドキッとし内心焦った俺は忍に悟られないように平常心を保ち桃を食べる。うまいだろ?と笑いながら聞いてくる忍に美味いと笑顔で返す。
しばらくすると看護師さんが来た。忍の検査がある時間らしい。
「それじゃまた来るな」そう忍に伝えその日はそれで帰った。
帰り道、今日あったことを思い返し1人ニヤつく。はたから見たらただの変人だ……。たとえ、叶わぬ恋でも、結ばれなくてもいい。こうして忍のそばにいれるだけで俺は幸せなんだ。
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