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第12話 *(了)
不器用なくせに長いキスを、雪染先輩にし続ける。
「んっ、ふ……んぅ」
特に抵抗されない。調子に乗った俺は、驚いている雪染先輩のズボンに、手をかける。
「ん、んんっ!」
それに対して、雪染先輩はやっと抵抗らしい抵抗を始めた。華奢な手が、俺の胸を押し返す。唇を離し、至近距離で見つめる。
「駄目、ですか?」
駄目も何も、こんなレイプまがいなことをオッケーする男なんていないだろう。頭の片隅では分かっているけれど、思わず口に出して確認してしまう。
下手くそなキスが苦しかったのか、雪染先輩の瞳は潤んでいる。
恥ずかしそうに視線を逸らし、呟く。
「ビ、ビックリしたけど……お前なら、いい……っ」
つまりそれはこのままセックスしても――そう思いかけた時だった。
「でも! 触るだけだぞ!」
「えっ」
露骨に落ち込む俺を見上げて、雪染先輩が赤い顔のまま囁く。
「試合に勝ったら……抱かれてやっても、いい」
つまり……ゆくゆくは、オッケーというわけで。
ズボンから、下着に手を入れる。雪染先輩は小さく跳ねたけれど、拒絶ではないと判断して続行。
「ユキちゃんじゃなく、雪染先輩が好きです」
「コスプレしてなくても?」
「コスプレはコスプレで大好きです」
「お前――んっ!」
勃ちかけている雪染先輩のチンコに触れると、笑ってしまいそうな程、体を硬直させた。
それが凄く可愛くて、少し前まで『自分はホモなのか』と悩んでいたのが馬鹿らしく思える程、興奮する。
「ぁ、あっ! いきなり、そんな……扱いちゃ、あッ!」
「先っぽ……濡れてますね。可愛い」
「言うなバカッ! あっ、んっ!」
部室に、くちゅくちゅとエロい音が響く。それすらも恥ずかしいのか、雪染先輩は俺の肩を力強く掴む。まるで、しがみつくように。
「あっ、はっ! ヤダ、恥ずかしぃ……っ」
そう言うくせに抵抗しないところが、ますます可愛い。
一層強く扱くと、雪染先輩の声が更に高いものへと変わる。
「ヤダ、やっ、あッ! も、出ちゃ、から……さ、触んな……んッ!」
「イクとこ、見せてください」
頬にキスを落とす。
――瞬間、雪染先輩が大きく体を震わせた。
「ひ、あッ、ぁあッ!」
呆気無く射精している様を見ると『気持ち良くできたんだなぁ』とか安心してしまう。言えば怒られそうなので、黙っているが。
何度も体を震わせ、射精を終えると……ぼんやりとした瞳で、雪染先輩が俺を見上げた。
「はぁ、は……お前なぁ……っ」
「スンマセン……」
申し訳無さそうに、眉を下げる。すると、雪染先輩が笑った。
「まぁ……今日の努力賞、的な? 今度試合で勝てたら、好きなコスプレして抱かれてやるよ」
サッカーにしか興味のなかった俺に、突然訪れた初恋は……まだまだ終わらなさそうだ。
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