12 / 12

第12話 *(了)

 不器用なくせに長いキスを、雪染先輩にし続ける。 「んっ、ふ……んぅ」  特に抵抗されない。調子に乗った俺は、驚いている雪染先輩のズボンに、手をかける。 「ん、んんっ!」  それに対して、雪染先輩はやっと抵抗らしい抵抗を始めた。華奢な手が、俺の胸を押し返す。唇を離し、至近距離で見つめる。 「駄目、ですか?」  駄目も何も、こんなレイプまがいなことをオッケーする男なんていないだろう。頭の片隅では分かっているけれど、思わず口に出して確認してしまう。  下手くそなキスが苦しかったのか、雪染先輩の瞳は潤んでいる。  恥ずかしそうに視線を逸らし、呟く。 「ビ、ビックリしたけど……お前なら、いい……っ」  つまりそれはこのままセックスしても――そう思いかけた時だった。 「でも! 触るだけだぞ!」 「えっ」  露骨に落ち込む俺を見上げて、雪染先輩が赤い顔のまま囁く。 「試合に勝ったら……抱かれてやっても、いい」  つまり……ゆくゆくは、オッケーというわけで。  ズボンから、下着に手を入れる。雪染先輩は小さく跳ねたけれど、拒絶ではないと判断して続行。 「ユキちゃんじゃなく、雪染先輩が好きです」 「コスプレしてなくても?」 「コスプレはコスプレで大好きです」 「お前――んっ!」  勃ちかけている雪染先輩のチンコに触れると、笑ってしまいそうな程、体を硬直させた。  それが凄く可愛くて、少し前まで『自分はホモなのか』と悩んでいたのが馬鹿らしく思える程、興奮する。 「ぁ、あっ! いきなり、そんな……扱いちゃ、あッ!」 「先っぽ……濡れてますね。可愛い」 「言うなバカッ! あっ、んっ!」  部室に、くちゅくちゅとエロい音が響く。それすらも恥ずかしいのか、雪染先輩は俺の肩を力強く掴む。まるで、しがみつくように。 「あっ、はっ! ヤダ、恥ずかしぃ……っ」  そう言うくせに抵抗しないところが、ますます可愛い。  一層強く扱くと、雪染先輩の声が更に高いものへと変わる。 「ヤダ、やっ、あッ! も、出ちゃ、から……さ、触んな……んッ!」 「イクとこ、見せてください」  頬にキスを落とす。  ――瞬間、雪染先輩が大きく体を震わせた。 「ひ、あッ、ぁあッ!」  呆気無く射精している様を見ると『気持ち良くできたんだなぁ』とか安心してしまう。言えば怒られそうなので、黙っているが。  何度も体を震わせ、射精を終えると……ぼんやりとした瞳で、雪染先輩が俺を見上げた。 「はぁ、は……お前なぁ……っ」 「スンマセン……」  申し訳無さそうに、眉を下げる。すると、雪染先輩が笑った。 「まぁ……今日の努力賞、的な? 今度試合で勝てたら、好きなコスプレして抱かれてやるよ」  サッカーにしか興味のなかった俺に、突然訪れた初恋は……まだまだ終わらなさそうだ。

ともだちにシェアしよう!