5 / 16

天のエネルギー

「おれは良い関係だと思うけど……う〜ん」 あまっちでさえ、黙ってしまった。 いつも聞いてもらっているから、ごめんなぁと思うボク。 『じゃあ、エンジェルに聞いてみるか?』 しばらく考えてから出たあまっちの提案にボクはハッとした。 もう1人の仲間、蟹江福(かにえふく)の専門分野のことを。 「エンジェルオラクルカード……そっか!」 『天のエネルギーを借りるのも悪くないとも思うで』 「でも、あまっちはいいの?」 カニはあまっちの恋人……αだからってわけじゃなくて、邪魔しちゃいけない気がしたんだ 『なに言うてんねん……あいつも心配してるんやで?』 優しい口調にボクは自然と受け入れられた。 「それならお願いします」 『わかった……すぐ出来るように頼むわ』 じゃあなと言うあまっちにありがとうと返して電話を切った。 「天のエネルギーか……」 ボクは色んなものに頼って生きているなって痛感する。 発情するのでさえ、発情促進剤の香水とけんいぬの身体がなければ出来ないんだ ふぅとため息を吐いてからスマホを閉じ、立ち上がる。 「ボクは出来損ないだ……」 そうつぶやいたら後ろから抱きしめられた。 首の後ろから耳元まで滑るように舐められる。 「電話の相手、だれ?」 眠たそうだけど鋭い声でさっきまで寝ていたけんいぬだとわかった。 「あまっち」 「なんの用?」 「大した話じゃないから、大丈夫」 話しながらスタスタと寝室に向かうと、ついてくるけんいぬ。 「青くんΩだから浮気の心配はしてないけど、仕事の話なら俺も通してよ」 「Ωもαもβも関係ないだろ? 恋愛じゃあるまいし」 「いや、あるよ」 ベッドの端に座ったボクを長い手で捕まえて、倒したまま抱き寄せるけんいぬは首筋に口づける。 「俺がαだから、さるるに施術できるんだよ」 その後けんいぬが強く抱きしめるから、ボクは胸を締め付けられた。

ともだちにシェアしよう!