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あまっち
ボクらの関係ってなんなんだろう
ふいに考えると怖くなる。
なんとなく恋人みたいになっている感じがむずがゆいんだ
後始末を終え、射精した後のふわふわ感が消えて、我に返ったボクは不安に苛まれ、身体を起こす。
スースーと穏やかな鼻息が聞こえるから振り向くと、けんいぬが微笑みながら寝ていた。
こげ茶のマッシュに細い眉、二重のつり目に高い鼻、厚い下唇が細長い顔に収まっているし、おまけに長身……お客さんからの人気ナンバーワンなのがよくわかる。
それに比べてボクはこげ茶のボブに太い眉、大きくて丸い瞳に団子鼻、薄い唇に丸い顔、おまけにチビ……まぁ、かわいいって言われるけどさ。
「あまっちに相談しよ」
黒縁に青のレンズが入った遮光メガネを掛けて、寝室から出た。
メガネザル特有の大きい瞳のせいで光を吸収しすぎて目眩が起きるから、対策として掛けている。
メガネザルがメガネ掛けているなんてバカ臭いって自分でも思うけど……なぜか、けんいぬといる時は外している方が楽なんだ
なんて説明しているうちにリビングに着き、トークアプリの中からあまっちのアカウントを探す。
ジャイアントパンダのアイコンを開き、電話ボタンを押し、人耳に当てる。
一応言っておくと、あまっち……青柿亜麻 はΩだから浮気ではない。
『……はい、もしもし』
「あっ、ごめんなぁ。夜遅くに」
『別にええよ、仲間なんやから』
高いのに落ち着いた声に安心するボク。
『終わったん?』
「終わったけど、けんいぬはそのまま寝てる」
『ええやん、そのままにしとき』
「うん……そうする」
けんいぬとボクはシェアルームという形で一緒に住んではいるけど、別々の部屋で寝ている。
でも、施術の時は必ず一緒に寝てしまうんだ。
『なに……なんかあったんか?』
5歳年上となると、お兄ちゃんみたいに感じるあまっち。
「うん、あのねぇ」
『おん』
「ボクとけんいぬの関係ってなんなんだろうなぁって、このまま続けていいのかなぁって……不安になっちゃったんだ」
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