1 / 7
第1話
スクールカースト。
三角形の下の下。一番広い、その他大勢感たっぷりのそこが俺の居場所だ。
人数が多い分、紛れられる。居心地だって悪くない。面倒なことは大嫌いで勉強だって得意じゃない。俺はいたくてここにいる。
下の下にいても、不思議といじめられることはない。つるむ奴らは同じレベルで、無用な争い事は避けたがる。喧嘩? そんなただ痛いだけのこと俺たちがしてなんの得になるんだ。
友達だって多くはないけどちゃんといる。アプリゲームの女の子に夢中な男、ラノベキャラに夢中な女の子、会えるアイドルに全財産捧げてる奴。揃いも揃ってオタクだらけだけれど、友人と呼べる人間は男女両方にいるから寂しいだなんて考えたこともない。
スクールカーストの中で不便があるとすれば学校生活、主に教師受けの悪さだろう。
勉強? 出来ないから下の下なんだっつの。オタクで暗くても、勉強やスポーツのうちひとつでも秀でてたらここにはいない。そういうやつは中の中から下の上あたりにいるもんだ。
存在感なんてない。俺をちゃんと認識してるのは友人だけだと思っていたのにサボるとすぐにバレる。どういうことだ。
それなのにカーストトップの奴はどうだ。
今だって盛大に遅刻してきたってのに、笑って頭を下げたらすぐに許されている。
勉強が出来るからか?
それともスポーツ特待生だからか。
生徒会長をすればいいのか?
いや、単に顔がいいからだろう。
若い女の担任の頬がピンクに染まる。イケメン滅べ。
そのイケメンは、残念なことに俺の幼馴染なんだけど。
ともだちにシェアしよう!