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第17話 帰路へ

 これから2時間かけて来た道を戻る。 きっと疲れた事だろうと、ストレッチャーの上を片付けながら 「良かったらここに寝転んでもいいよ。着いたら、ちゃんと起こしてあげるから。」 と、ヨシヒサくんの顔を見て言った。 「え、マジでいいの?俺本気で寝ちゃうよ?!」 そう言ったヨシヒサくんの顔つきが、さっきまでとは違っているようで不思議に思った。 まるで別人のような言葉使いだし。 「ぼく」から「おれ」になっている・・・ 「いいよ、寝てて。」 上の毛布を取ってあげると、寝転ぶ彼の身体にそっと掛ける。 それから、明子さんのお弁当を開けると、おにぎりを取り出して長野さんに渡した。 長野さんは運転しながらおにぎりを頬張り、まだニヤニヤしている。 「長野さん大丈夫ですか?ニヤついてるとご飯が変なとこに入りますよ!」 オレが言うが、気にする様子も無くバクバクと頬張っていた。 オレも、おにぎりを手に取ると口へと運ぶ。 手作りのおにぎりなんて何年ぶりに食べただろう・・・ 自炊しているけど、自分でおにぎりを握るなんてしないもんな、と思いつつ、目の前で眠るヨシヒサくんに目をやった。 朝の甲斐甲斐しい姿は消え、今は普通の大学生のようで、こっちが素のカレなんだろうと思う。叔父さんと接する時は、完全に小さな子供の様だったし、それだけ慕っていたって事だろう。 羨ましいな・・・ オレが15歳の時に、あんな叔父さんがいてくれたら・・・・ おにぎりを頬張りながら窓の外を眺めると、抜けるような青空が広がっていた。

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