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第27話 ここだけの話。

「大変だったね?!終末の患者さんなんて、気が重いよね。まだお若いし、余計に可哀そうだわよ、ねえ?」 事務の高木さんが、オレと長野さんにお茶を入れながら言った。 「ここだけの話、今回はなんか不思議な人たちでさあ・・・」 「長野さん。ここだけの話って、絶対ないですから。高木さんに聞かせる話は無いですよ。」 オレがそういうと、 「相変わらず固いわねぇ・・・・おとなしくて真面目で、カタブツ。」 高木さんが、オレの目の前にお茶を置くと言った。 「ホントな。だ~から彼女が出来ないんだよ。もう29歳だっていうのに!」 長野さんは、オレの報告書を覗き見しながら言うが、オレはもう聞きなれていて、特に言葉はなかった。 「全く、そんなにおとなしくて女の子ナンパできるのかしら?ここに就職して2年目に聞いたのが最後の女って訳だね!」 高木さんは、本当によくしゃべる。 人の恋愛事情を根ほり葉ほり・・・・・ オレはもう、そういうのが煩わしくなっているんだ。放っておいてほしいと思った。 結局、最終的には女性側の親に選ばれなきゃ、うまくいかないってのがよく分かったんだ。 オレは父親が亡くなった後、18歳まで施設で育った。 それは近くに親戚が無かったし、あっても、借金を苦に自殺した父親の縁者は知らん顔だった。自分に借金が回ってくるんじゃないかと思ったんだろう。バカな話だ。

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