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第26話  作り物?

- - -  「やっぱりな。」 車に乗り込んだ長野さんが、第一声口にした。 「なんですか?」 オレが聞き返すと、「なんだか朝のあの子は作り物みたいな感じがしたんだよね。」と言う。 「作り物?」 「うん、あの叔父さんの前でだけなのか、明子さんの前でもそうなのか・・・分からないけどさ、なんとなく違和感覚えた。」 長野さんは、そう言ってエンジンを掛けると車を走らせる。 違和感と言われても、オレにはよく分からなかった。叔父さんの手をギュっと繋いでいた彼の心が、嘘や作られたものだとは思えない。でも、さっきの彼も同じヨシヒサくんで……。 オレの心に引っかかるものが膨らんだが、そのまま会社へ戻ると報告書を書きはじめる。

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