40 / 153

第40話 気になる傷跡

 「いいけど、.......内田さん引かないでよ?!」 そう言いながら片方の手でボタンを外し始めるが、うまく出来なくて。オレはシャワーを一旦止めるとボタンを外しシャツを脱がしかける。 ゲイだか何だか知らないけど、オレの目に映るヨシヒサくんは普通の男の子だし、昔バスケをやっている間に男の裸なんて腐るほど見ていたオレは、彼の裸なんて今更なんとも思わない。 シャツの袖から腕を抜いてやり、それを洗面台の横の棚に置くと、またシャワーのお湯を出した。湯船の中で待つ彼の上半身はもちろん裸。普通に男だし、華奢だからお世辞にもいい躰とは言えないけれど、別に引くようなことはなにも無かった。 「じゃあ流すね、俯いてくれる?」と言って、彼が浴槽の淵に寄って俯いた時だ。 肩甲骨の所に、スジの様に盛り上がった傷が見える。 しゃがみながらお湯を掛けているから、オレの目からしっかり背中が見える訳じゃない。 ふと、医者が言っていた事が気になって、オレは中腰になると彼の背中を少し覗き込んだ。 - あ、・・・・・・・ おもわず息を呑む。上から見る限りでも、肩甲骨の辺りから腰にかけて幾筋もの傷跡が見えると、オレは目を逸らしてしまった。

ともだちにシェアしよう!