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第41話 引かないでよ、って・・

 - コレの事か。 シャンプーを泡立てながら、ゴシゴシと頭を擦ってやるが、時々背中にも目が行く。 古い傷。事故で出来たのかな・・・? 考えながら洗っていると、不意にヨシヒサくんが言った。 「背中、気持ち悪いでしょ?!」 「・・・え?・・・や、別に・・・。」 見ていた事に気付かれて焦ったが、そういうしかなくて、曖昧な返事をする。 オレに「引かないでよ」と言った意味が分かった。 これは、女の子が見たらちょっとショックかもな、と思えるほどの傷で・・・ どうして怪我をしたのか聞くのも躊躇する程だった。 「かゆいところあったら言って。」 「大丈夫、凄くキモチイイ。3日ぶりに頭洗えた。」 そう言って、ヨシヒサくんはうつむいたまま髪の毛の滴を片手で絞った。 オレは、時間が来たのでバスタオルでざっと拭いてやるが、その後はカレに渡して風呂場から出る。 中途半端で悪いと思ったが、これ以上時間は取れないし、会社に戻らないといけない。 ついでにシャワーを浴びると言ったヨシヒサくんをおいて、オレは藤谷家を後にした。 住宅街を抜けて広い道に出ると、ゆっくりと車を走らせたが、目に焼き付いた背中の傷が思い出されて胸がざわざわしてくる。 ・・・・アイツには、会うたびに驚かされる事ばかりだな・・・・

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