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第5話

「ちょい待ち。意外な展開にドキドキなんだけど」 「ふふふ、驚いた?」  俺に跨る白を見上げ、素直に降参の旗を振る。すると白は嬉しそうにドヤ顔を見せてくれる。そろそろ俺から手を出そうと思っていたから、まさかの反撃は予想外すぎて完全に負けた気分だ。 「恋人同士って言ったもんね。真面目な委員長だって二人っきりになった上にあれだけ煽られれば行動に出ます」  俺を驚かせたのがよほど嬉しかったらしく、白は機嫌良さそうにベルトに手をかける。  どうやら俺のコスプレの認識は間違っていなかったらしい。あれだ。物語があるタイプのAVだ。そしてどうやらすべては前振りだったらしい。  てっきりスカされたのかと思っていたけれど、見事に繋がっていたわけだ。 「肉食優等生か。新しい」 「新しいかな? 優等生って基本淫乱じゃない?」 「ぶっ……!」  ベルトを外す手伝いをしながら感心していた俺は、降ってきた意外なセリフに思わず噴き出してしまった。  いや、確かに普段真面目な優等生とか委員長が実は……っていうのはギャップとしてはよくある組み合わせだけど、基本かと言われると素直に頷けないというか頷いちゃいけないというか。結果的にそうであると嬉しいとは思うけど、まさか白からそんなセリフが飛び出すとは思わなかった。  長い付き合いではあるけれど、まだまだ知らない面があるんだと思うとよりいっそう好きになってしまう。  それにしても優等生だから淫乱っていうのはさすがに極論すぎると思うけど、……今の白は一応優等生設定なんだよな? 「白がどういう経緯でそう思うようになったのかめちゃくちゃ気になるところだけど、とりあえずその設定が今有効ならそれで良し」 「ふっふっふ。委員長として、不良くんに勉強も楽しいってわからせてあげよう」  ネクタイを外しただけでシャツも脱がず、最低限制服の形を保ったままの白の心意気はとても素晴らしく、こういうところでお互いをわかりあえる間柄は最高だと思う。  せっかくの制服コスプレだ。全部脱いでしまってはもったいない。なにより滅多にない下から見上げる眺めは格別だ。……そういえば、騎乗位はまだ経験がなかった。 「んじゃ、勉強させてもらいましょうか」  その存在は当然知っているし、ドラマの中でもそれらしいシーンを撮ったことはある。だけど俺のまだまだ乏しい経験回数の中に、本物のそれは含まれていない。  しかし優しい委員長は俺にそれを教えてくれるという。  それも、あくまで制服を着たままで学生らしい初々しさを強調していいというのなら、それはもう俺のためのシチュエーションに他ならない。  ……なんせ何回濡れ場をドラマの中で演じていようとも、共演した女優みんなと付き合っていると噂されようとも、ついこの前まで、ずっと好きだったこの目の前の相手と結ばれるまで一つも経験はなかったんだ。立場としてはまだ勉強途中の学生で間違いない。 「白、大好きだよ」  それをコンプレックスに思っている俺に気を遣わせないよう、こんな風に色々考えてくれる白はどれだけ好きになってもまだ足りない。  だからちゃんとそれを言葉にして、それでも足りずに身を屈めさせるように引き寄せてキスをして気持ちを伝える。キスだけは数えられないくらいしているから、これより先のテクニックと比べて自信はある。口の中は弱いところだらけだし、歯だって感じるし、舌先の器用さは自慢だし、音だって重要。それと同時に頭や首筋、もちろん体にも触れて熱を高めていくのも忘れない。  すると呆気なく骨抜きになってくれた白が、ぺったりと俺の体の上に倒れ込んできた。 「紅くん、相変わらずキスがえっちぃ」  くっついた体が熱いのも、濡れた唇から漏れる文句も、全部エロい。  普段がとても爽やで身長が大きいだけの子供って感じのピュアピュアで、エロとは無縁ってタイプの白だからこそ、こういう時のギャップが卑怯なほどにエロくて魅力的だ。 「さて、委員長。お勉強の時間です」  まずは『睦言』をかわすために、色々と堪能することにしましょうか。  その後、乱れる優等生プレイのためにネクタイとベルトをどう使ったかは一応アイドルという仕事上秘密にしておくけれど、コスプレならぬコスチュームプレイはこれからも定期的に行うべきだという結論が出たからそれで大体察してほしい。  日本男児たるものいくつになっても制服に興奮しないわけはないんだから、それを改めて確認できたのは白の素晴らしきプレゼントお勉強会のおかげ。  ってことなんで、とりあえずそのうち補習と復習をお願いできますかね?

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