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第13話 完璧な『人間』はいない。
オチ
「ごめん、叶に目に見えるプレゼント残せなくて」
あの杉原先輩が元気がないです……。
こんな杉原先輩が見れるのは私だけの『特別な権利』のようで不謹慎ですが……すこしだけ嬉しくなってしまいました。
杉原先輩はそう言いますが後悔しているようですが、私も後悔しています。
「私こそ……驚かせようと思って物ばかり押し付けてしまってごめんなさい」
「俺はちょー嬉しいから良いんだよ?もっと形のあるもの頂戴ね」
「杉原先輩のくださる物は思いが籠っていて私は嬉しいです」
そうです……何だか私の思いが軽いようで辛いです。
私は杉原先輩に釣り合う『人間』なのでしょうか?
……私は杉原先輩に釣り合う『人間』になれるのでしょうか……?
「……杉原先輩、私は『想い』や『感情』の部分が欠落しているように感じるときがあるんです。まだまだ杉原先輩には勝てる気がしません」
「……自分が完璧だと思ってる『人間』なんていないんじゃない?……どこかしら『欠けてる』って思ってると俺は思うよ」
杉原先輩も……自分が欠落した『欠陥品』だと思っていると言うことでしょうか…?
「まぁ、叶はそんなに自分が欠落してるって思いがちなのかもね?……だから悩んで思い詰める。でも俺は何も考えないで動く『人間』より何か思いながら動く『人間』が良いと思うけど」
杉原先輩は本当に凄いです……。
何でも聞いたことがスラスラと答えが返って来ます。
「やはり杉原先輩には敵わないです」
「俺は叶には敵わないと思ってるよ?……想いで縛るサイテーな男だし」
帰って欲しくないです。
「……帰りたくなくなっちゃうな」
「っ!帰らないでください!!」
「そういうわけにはいかないの、『茶の席』が俺を待ってる。……一応約束だからね」
今日は本当に帰ってほしくありませんでした。
会わせたい人が来てくれるんです……。
「あ、お祖父ちゃんいつ来てくれたんでしょう」
「……えぇ?!」
家政夫長が報告してくれました。
「杉原様とプレゼント交換されているときに混ざってプレゼントを渡そうとされていましたが…割って入れないと仰ってらして今ダイニングにいらっしゃいます」
「叶!!!!また明日連絡するから」
「ちょうど良かったです!!先輩、お祖父ちゃんに会っていってください」
「俺にはまだそんな勇気ない!!」
勇気ですか?
何故杉原先輩はそんなに気にするのでしょうか……?
杉原先輩はまるで風のように家から去ってしまいました。
お祖父ちゃんと杉原先輩を紹介しようと思っていたのに……残念です!
そのとき杉原 俊は気がつきました
「……あれ?ひょっとしてまさか……俺が作ったケーキ……祖父ちゃんと食べる気じゃないよね……?」
完
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